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電車の色にはこんな意味がある杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/3 ページ)

普段、何気なく乗っている電車の色。実はそこにはさまざまな理由や鉄道事業者の思いがある。路線案内という機能だったり、ブランドだったり。色を統一した会社も、自由な色使いができる会社も、それなりの理由があるのだ。

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 首都圏の鉄道路線は、個別に色が与えられている。JR線を見れば、山手線はウグイス、京浜東北線はスカイブルー、中央線快速はオレンジなど。地下鉄の場合、東京メトロ銀座線がオレンジ、丸ノ内線は赤、有楽町線は黄色、都営地下鉄浅草線はピンクで、三田線は青、新宿線は緑。地下鉄同士は色が重複しないように、過去に話し合いがもたれた。目立つ色の赤について、当時の営団地下鉄と東京都で取り合いになったという話もある。

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JR東日本のE233系電車。同型の車両でも路線によって帯の色を変えている(出典:Wikipedia

 このような路線色はJR各社や全国の地下鉄でも採用されている。理由は「案内しやすく、乗り間違いを防げる」からだ。路線網が複雑で、隣のホームから違う行き先の電車が発着する場合もある。

 大手私鉄では、車体の色分けが採用されていない。路線図では色分けされ、駅の案内図も路線色が使われているけれども、車両に関しては同じ色だ。東急は田園都市線と東横線で帯の色を変えている。池上線・多摩川線系統は緑色の柄を採用している。しかし、これは比較的最近のことで、かつては銀色に赤が定番だった。銀色を基調と考えれば、今も東急の電車のシンボルカラーは銀色だ。

 京急電鉄はどの路線も赤だ。羽田空港行きが青、三浦半島行きが黄色、などと色分けすれば便利そうだけど、赤である。小田急と東武は青帯、西武鉄道はかつての黄色から青帯へと移行中だ。現在は相互直通運転が盛んになっているから、車両の所属先が分かりやすい。西武鉄道の路線で銀色とピンクの帯の電車を見ると「あれに乗れば東横線方面に行ける」と分かる。路線ごとに色を変えるというより、企業のシンボルカラーで統一する傾向と言える。

 しかし、コーポレートカラーがそのまま電車の色になるという単純なものではない。西武鉄道はコーポレートカラーが青で、電車の色も青を基調に変えた。しかし、赤い電車の京急電鉄も、コーポレートカラーは青(水色)。駅名標などにコーポレートカラーを採用している。京急バスも青が入っている。電車の赤はブランドカラーといえる。

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東京の地下鉄路線図。車両にも路線カラーを採用し統一している(出典:東京メトロ
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