チームワークはいらない、それよりも成果だ:中竹竜二氏×サイバー役員・曽山哲人氏対談(5/5 ページ)
早稲田大学ラグビー部元監督の中竹竜二氏は就任2年目で大学選手権優勝を果たした。その華やかな結果とは裏腹に、チームはシーズンを通してバラバラ、まったくまとまりがなかったという。しかし、中竹氏はそれも良しとしている。そのわけとは……?
強い組織とは何か?
――お話を伺っていて、強い組織と言ってもそれが何かという定義が重要だということが分かりました。その上で、お2人が考える強い組織とはどういうものなのでしょうか?
曽山: 僕の場合は、成果が出続けること、これしかないです。成果が出続けていれば強い組織だと思うし、リーダーはこのことから逃げないのが重要です。
中竹: 成果やそれを達成するための手段を決めても、状況が変わればしなやかに変化対応できるかが強い組織だと思います。
曽山: 変化対応力ですよね。
中竹: これは勇気のいることですが、最終的には組織が変化し続けられるかが重要です。
しばしばリーダーにとって朝令暮改は一貫性がなくて悪いことだと言われます。僕が一緒に仕事をしていた元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズという人は、朝令暮改どころか“朝令朝改”。それを自信持って貫いていました。考えてさっき言ったことよりも、今思い浮かんだことの方が良いと思えばすぐに変える。勇気が必要だし、リスクもあるのですが、自分の失敗を認めてすぐに変えられる力、こっちの方がいいのだと前に進む力を持ったリーダーと、それに対応できる組織が最も強いと思います。
曽山: 変化し続けるのはすごく大事ですね。サイバーエージェントの強さはまさに変化対応力です。ずっと変化しているので、他社には真似できません。たとえ真似しても、今日明日には決して追い付けません。
ただ大切なのは、変化することではなく、変化の習慣を持つことです。いきなり大きく変化しようとすると拒否反応は強いし、組織が破たんします。それよりも、小さな変化をずっとやり続けていると、変化の習慣がついてきます。サイバーエージェントは社員が年に3回異動したり、月に1度は社内のどこかでレイアウト変更をしていたりします。そのことにクレームが来るけれども、業績は伸び続けているので、変化することを止めることはありません。
――本日はどうもありがとうございました。
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