住みたい街の基準、潮目は変わったのか?:北千住と赤羽が浮上(1/4 ページ)
毎年発表されている「住みたい街(駅)ランキング」に、異変が起きている。「北千住」や「赤羽」など、これまであまり見向きもされなかった街が、人気エリアとして浮上している。今後、どんな街が浮上して、どんな街が寂れていくのだろうか。
毎年発表されている「住みたい街(駅)ランキング」に、今、異変が起きている。大手不動産情報サイト「HOME'S」がユーザーを対象にした調査に基づいて発表した「買って住みたい街ランキング首都圏版」では「船橋」が、そして「借りて住みたい街ランキング」では「池袋」が、「吉祥寺」や「恵比寿」といった人気の街を押さえて1位になったのだ。
また各種ランキングでは、「北千住」や「赤羽」など、今までは見向きもされなかった庶民的な街が、新たな人気エリアとして浮上している。今後、どんな街が浮上して、どんな街が寂れていくのか──。住む街を決めるうえでは、常に動向をチェックしておく必要がある。
買って住みたい街ランキング1位はなんと船橋に
HOME'S総研が発表した「2017年 買って住みたい街ランキング首都圏版」では、船橋が1位に輝くという意外な結果が出た。今までは、地域イメージが良かったり、大規模マンションや駅周辺の再開発で地域のポテンシャルが向上する街(駅)がランクインしていた。
2016年のランキングと比較しても、上位を占めた吉祥寺、横浜、恵比寿は軒並みランクダウンし、吉祥寺と恵比寿に至っては圏外まで落ちた。
このような“波乱”が起きた背景には、アンケートの集計方法の変更が関係している。2016年版までは、首都圏(1都3県)の居住者を対象にしたインターネット調査(有効回答数1030票)で、どちらかといえば、「街の人気投票」という側面が強かった。近年、都心の人気エリアの住宅物件は、とても庶民には手が届かないほど価格が高騰している。とはいえ、こういったエリアはブランド力があって便利なので、「今の収入では吉祥寺や恵比寿に買って住むのは無理だけど、住めるのなら住みたいよね」ということで票が入り、その結果、ブランド力が高い街(駅)が上位を占める、我々の生活実態とはかけ離れたランキングになってしまっていたのだ。
気の毒なのは、首都圏のこうした実態に疎いまま上京してきた地方の人たちである。人気エリアは賃料も高いので、「買って住む」どころか「借りて住む」のもままならない。しかし、ブランド力が高い駅が上位を占めるランキングに影響を受けて、「上京したら、絶対に吉祥寺に住む!」となり、少し離れた場所なら駅から徒歩5分、バス・トイレ別の1DKに住めるのに、吉祥寺駅からバスで15分の場所にあるワンルームに住む……となってしまうのだ。
もう何年も首都圏に住んでいる人ならば、すでに駅周辺が開発し尽くされて住宅供給ができない吉祥寺や、家賃がバカ高い割には買い物が不便な恵比寿が、必ずしも「住みやすい街」ではないことを重々承知している。タワーマンションの林立で注目を高める武蔵小杉も交通利便性は高いが、駅の混雑や待機児童の増加など、住民の急増によって生じる問題に対応しきれていない面がある。
しかし、地方にはそうした細かい情報はどうしても伝わりにくいので、結局は不動産情報サイトなどが発表する「住みたい街ランキング」が街(駅)選びの指標になってしまっているのだ。
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