このメガネ似合ってる? AIが判定するサービスとは:スタッフ3000人のセンス学習(2/2 ページ)
ジンズが提供する、人工知能(AI)が眼鏡の“お似合い度”を教えてくれるサービス「JINS BRAIN」。オンラインショップや実店舗でどのように活用されているのか。
接客ツールとして活用
ネット通販だけでなく、実店舗でも活用が進んでいる。店舗では、商品を実際に試着して写真を撮影し、その場でタブレット端末を使ってお似合い度を判定する。接客を補助するツールとして取り入れた。
どのフレームにしたらいいのか迷っている来店客に対して、お似合い度の比較を提案したり、まだ十分なスキルがない新人スタッフが接客の補助に使ったりと、客のニーズやスタッフの技量に応じた使い方をしている。スタッフからは「接客トークのきっかけになる」「最後のひと押しに効果がある」という声もあるそうだ。
「人からの『お似合いですね』という評価は曖昧だが、AIは感情が入らず、数字で示す」(向殿氏)。客にとってもスタッフにとっても、AIによるハッキリとした判定が新たな気付きや学びとなる可能性もある。
今後の展開に向けて、課題も残っている。現在のサービスでは、JINS BRAINのWebサイトから眼鏡を試着して、オンラインショップの購入ページに進むという流れになり、逆の流れで利用することはできない。つまり、オンラインショップの商品ページからJINS BRAINのサイトに行くことができないのだ。主に、最初からJINS BRAINを利用するつもりでWebサイトを訪れた人向けのサービスになっている。「2017年内には、その問題を解消し、購入の導線上にJINS BRAINを組み込む」(向殿氏)計画だ。それが実現すれば、オンラインショップにおける購入者のJINS BRAIN利用率は、現在の数%から「2〜3割になるのでは」(同)と見ている。
AIの精度もさらに高める。現在は約6万件のデータを学習しているが、「もっと数が必要」(向殿氏)。人によって意見が分かれる傾向がある眼鏡の評価データも増やし、10万件程度加える作業をしているという。
「AIの話題性を打ち出すのではなく、意識せずに自然と使ってもらえるような“普通”のサービスにしていきたい」と向殿氏は話す。「AIは特別」という意識はやがてなくなり、サービスを提供する側も受ける側も、ツールとして使いこなすようになるだろう。その変化に柔軟に対応していくことが求められそうだ。
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