「人口減少」が続くが、解決策はあるのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
総務省統計局によると、日本の総人口は1億2558万3658人で、8年連続で減少している。また少子化も歯止めがかからず、出生数は98万1202人と過去最少を記録した。日本人がどんどん減っているが、解決策はあるのか。ひょっとしたら「テクノロジーのチカラ」が役立つかもしれない。
中長期的に国が方針を示さければいけない
そうすれば、人口が減っても、他国の追随を許さないようなテクノロジーを開発することで、その穴埋めをすることができるようになる。そこで重要になるのは、こうした国としての大きな課題に、国策として政府が大きなイニシアティブを発揮し、十分な予算をつけるなどして対策に乗り出せるかどうかだ。もちろん政府にすべて頼ってしまうのではなく、日本国内でビジネスを成功させている企業などが基金を作るなどして、官民で取り組むこともできる。
そもそも公共のインフラなどを活用してビジネス業界で成功している企業などは、国民がみんなで作り上げてきた電力や道路、インターネットなどのインフラがあってこそカネを稼げているのだという事実を今一度認識して、社会に還元していくべきである。海外のIT長者など起業家たちは、税金対策もさることながら、そういう還元の意識で基金を設立したりしている。
とにかく、まずは国がそうした対策をはっきりと分かりやすく、大々的に国策として打ち出さなければいけない。そろそろ人口減に直面している私たちがどこに向かうべきかの、中長期的な国の指針を示す必要があるのではないだろうか。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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