だから世界的に「メディア不信」が広がっている:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
日本のネット界隈で「マスゴミ」という言葉がすっかり定着した。さまざまな調査結果をみると、既存メディアへの信頼度が低下しているようだが、海外メディアはどうなのか。日本と同じように……。
英国でもメディアの信頼度が低下している
他の国ではどうか。英国もメディアの信頼度低下が報告されている。英調査会社YouGovが行なった、英国で一番真実を語っていると思うメディアはどれか、との調査に衝撃的な結果が出ている。なんと、1位になったのは「Wikipediaの執筆者たち」で、回答者の64%がWikipediaを挙げたのである。
英国民は既存メディアよりも、ネット上にある“百科事典”を信頼していることになる。2位に入ったのは「(英公共放送の)BBCの記者」で、回答者の61%が真実を語っているだろうと答えた。英ガーディアン紙などの一般紙の記者に対しては、45%が信じられると答えている。
また英国の別の調査によると、メディアを信頼できるとした英国民は24%で、2016年の36%から大きく下落した。英国の場合、2016年のブレグジット(EU離脱)の国民投票で、メディアの事前予測に反して離脱が決定したり、同年にほとんどのメディアの予想に反してトランプ大統領が誕生したことなどが、メディア不信につながっていると見られている。
実は、日本や英米で見られるメディア不信は、いま世界的な傾向となっている。
英調査会社エデルマンは、世界28カ国を対象にメディアに対する意識調査を実施していて、2017年1月にダボス会議でその結果を発表した。それによると、メディアの信頼性は世界的に見ても51%から43%に低下しており、これまでの調査で最低の数字を更新した。
中でもメディアへの不信感が顕著だったのは、オーストラリア、カナダ、アイルランド、コロンビアだった。同社によると、この信頼低下の背景には、メディアがこれまで以上に「エリート」側であると見られるようになっており、批判的に見る人が増えたというのがある。またネットの台頭ももちろん低下の要因になっており、同社の調査では、5年前から既存メディアよりもネットを頼る人が増えていると指摘している。
関連記事
- NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由
言葉を生業にしているマスコミだが、会社によってビミョーに違いがあることをご存じだろうか。その「裏」には、「華道」や「茶道」と同じく「報道」ならではの作法があるという。 - なぜ渡辺謙さんは「不倫謝罪会見」をこのタイミングで開いたのか
7月15日、俳優の渡辺謙さんが「不倫謝罪会見」を開いた。4カ月も逃げ回っていたのに、なぜこのタイミングで会見を開いたのか。背景にさまざまな大人の事情がからんでいて……。 - 実は怖い、インド便のトイレ
航空会社のトラブルが相次いでいる。男性が警察に引きずり出されたり、母親がベビーカーを奪われたり。いずれも米国の航空会社で起きたわけだが、客室乗務員によると「インド便で深刻な問題がある」という。どういうことかというと……。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.