若い人の会話で空回りする、典型的な4つの場面:おじさん世代の思いが伝わらない(1/4 ページ)
「いまの若い人と会話が通じない」といった悩みを抱えている上司や先輩も多いのでは。小さなころからスマートフォンと接してきた世代と、どのように向き合えばいいのか。
コンサルタントや研修講師として全国を飛び回っていると、各地で似たような光景を目にします。研修の休憩中に新入社員の多くが、他の受講生と会話もせずにスマートフォンとにらめっこしているのです。
こうした光景を目にするたびに「イマドキの新人は……」という言葉がつい出てしまいそうになりますが、今叫ばれている「働き方改革」を加速させるのは、さまざまなガジェットを使いこなすスマホ世代になるのでしょう。ちょっと頼りなく見えるかもしれませんが、オジサン世代が彼らに学ぶべきこともたくさんあるはず。
というわけで今回は、新入社員をつぶさずに伸ばすための考え方をご紹介します。
「いいね!」のコミュニケーション 社会とギャップ
学生時代からスマートフォンやタブレットに親しんできた「スマホ世代」。彼・彼女らの多くは社会に出て、上司や先輩、取引先とのコミュニケーションの壁にぶつかります。なぜなら対人コミュニケーションにおける葛藤・あつれきの経験が圧倒的に不足しているからです。
例えば恋人とデートの約束をするところをイメージしてみてください。今はLINEなどですぐ連絡できますが、固定電話しかない時代は、「相手のお父さんが出るかも……」という葛藤がありつつも、それを乗り越えるしかありませんでした。実際にお父さんが出て「何の用だ!」と問い詰められた人もいるでしょう。でもこれをきっかけに、「目上の人への話し方」「相手に好印象を抱かせる話し方」を学ぶことができました。便利で豊かな時代環境は、スマホ世代からコミュニケーションにおける葛藤やあつれきに向き合う経験を奪ってしまったのです。
また、FacebookなどのSNSでは、基本的に「いいね!」という肯定的なリアクションしかありません。同年代の気の合う仲間だけと付き合い、嫌な思いを避けて生活できます。ところが社会に出れば強烈なダメ出しをする上司や先輩、話が通じないクライアントもいます。これが大きなストレスになります。誤解していただきたくないのですが、「だから新人の能力は低い」と言いたいのではありません。今の若い人たちは、世代や立場、価値観が違う人とのコミュニケーションの機会が少ない環境によって、入社後に多くの壁を感じやすいのです。
このように若い人にとって、学生生活と社会人生活の間には大きなギャップがあります。そのギャップを埋めるために、対人コミュニケーションを強化することはこれまで以上に必要性を増しています。ただし、これはスマホ世代に限った話ではなく、上司や先輩も若い人とのコミュニケーションのあり方を見直す必要があります。
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