若い人の会話で空回りする、典型的な4つの場面:おじさん世代の思いが伝わらない(4/4 ページ)
「いまの若い人と会話が通じない」といった悩みを抱えている上司や先輩も多いのでは。小さなころからスマートフォンと接してきた世代と、どのように向き合えばいいのか。
「気軽に相談しろ」が通じない
すれ違い場面(4)「気軽に相談しろ」が通じない
4つ目は「気軽に相談しろ」では相談に来ないこと。上司や先輩は「新人がなぜ相談に来ないのか」を掘り下げて考える必要があります。若い人たちは「何も知らないイマイチなヤツ」と思われるのを極端に嫌います。また「空気が読めない」と思われたくないので、忙しそうな先輩を気遣って話しかけることができません。
しかも、せっかく勇気を出して相談したのに、話している間ずっと先輩がモニターをにらんでキーワードをカチャカチャとタイピングしていたら、声をかけづらくなってしまいますよね。「この人にだったら相談できる」と信用されるように、上司や先輩のほうが相談しやすい環境をつくることが大事なのです。
ベテランも「対人コミュニケーション」を見直そう
ここまで読んで「若い人を育てるのは大変だ!」と思った人もいるかもしれません。でもよく考えてみてください。新人の力をうまく引き出すことができたら、その組織は強くなります。彼・彼女らはオジサン世代とは、「鍛えられている場所が違う」だけで、ポテンシャルや新しい時代への順応性はとても高いのです。
新人を育てられない組織は、いずれ弱体化するでしょう。若い人が成長できるかどうかは、日本の競争力にも関わる大きな問題です。今回は営業の事例を多用しましたが、これはどんな職種にも通じる話。今こそ、新人もベテランも対人コミュニケーションのあり方を見直すべきではないでしょうか。
著者プロフィール:的場正人 (まとば・まさひと)
リクルートマネジメントソリューションズ エグゼクティブコンサルタント
1971年生まれ。北海道大学卒業後、リクルート入社。営業MVPを連続受賞の後、営業マネジャーとしても最優秀営業課賞を連続受賞。その経験をもとに、コミュニケーションを仕事とする営業職のコンサルタント活動をはじめ、講演や研修講師としても活躍。主な著書に『リクルートのトップ営業が後輩に伝えていること ―一人前の営業になる6つの習慣』(日本経済新聞出版社)(日本経済新聞出版社)がある。
関連記事
- なぜ研修にチカラを入れている会社は、パッとしないのか
上司から「研修があるから受けてきてね」と言われたことがある人もいるはず。ビジネスシーンでよくある光景だが、グーグルで人材開発を担当してきたピョートルさんに言わせると、こうした会社は「イケていない可能性がある」という。なぜかというと……。 - スポーツ界で“オレ様”が減っている、なるほどな理由
結果を出す人と、出せない人にどのような違いがあるのか。オリンピック4大会に出場し、4つのメダルを獲得した、水泳の松田丈志さんに話を聞いたところ「周囲から応援される人は結果を出しやすい」という。どういう意味か。話を聞いたところ……。 - 「若者の○○離れ」という誤解
若者のクルマ離れ、CD離れ、ビール離れ、恋愛離れ……。私はこの「若者の○○離れ」という言い回しが嫌いである。 - 日本人が「通勤地獄」から抜け出せない、歴史的な背景
暑くなってきたので「満員電車」が辛くなってきた。「働き方改革を実現しよー」「時差出勤をしよー」と叫ばれているのに、なぜ“通勤地獄”は解消されないのか。その歴史をひも解いてみると、意外な事実が……。 - ビジネス界は「あれはオレがやりました」で溢れている
雑誌のインタビューに出てくる「俺がやりました」的な奴は、疑ってかかったほうが良い。期待するほどそいつは仕事していない。実際は、みんながそれなりに仕事をしているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.