若い人の会話で空回りする、典型的な4つの場面:おじさん世代の思いが伝わらない(3/4 ページ)
「いまの若い人と会話が通じない」といった悩みを抱えている上司や先輩も多いのでは。小さなころからスマートフォンと接してきた世代と、どのように向き合えばいいのか。
「失敗から学べ」が通じない
すれ違い場面(2)「失敗から学べ」が通じない
2つ目は「失敗から学べ」が通じないというもの。若い人は失敗して「ダメなヤツ」というレッテルを貼られることを極端に恐れています。それに加えて、上司や先輩が失敗する姿を見る機会が減っています。固定電話の時代には、先輩がお客さまに怒られていたり、新規のアポ取りに失敗したりする姿を見ることができたのですが、今は出先の携帯電話やメールで済ませてしまいます。
上司や先輩はスマートに仕事をしているのに(そのように見えるのに)、「失敗をしても大丈夫」と言っても信用できないのです。例えばトップ営業でも、新規開拓では門前払いを食らい、名刺すら交換させてもらえないことがある。そういう姿をあえて見せることで新人は「こんなスゴい人でも、たくさん失敗してここまできたんだ」と納得します。
さらに、新人が失敗しながら成長できる仕事が減っているという問題もあります。合理化が進み、ストレス負荷の小さい簡単な仕事は、IT技術が代替していたり、アウトソースされたりします。社内に残っている仕事は、難しいものばかりという会社も多い。仕事が簡単すぎると、「自分はこんな仕事をやりに来たわけじゃない」と離職し、難しすぎると案件が炎上して火だるまになることもあります。だからこそ、難しい仕事を先輩や上司がうまく関わりながら進める、もしくは新人が失敗しながら成長できるように仕事を切り分ける工夫が必要なのです。
すれ違い場面(3)「一方的に話すな」が通じない
3つ目は「ヒアリングが足りない」というアドバイスが通じないこと。新人の営業に同行すると、相手の要望を聞かずに一方的に用件を話す、突っ込んだ質問をあえてしないなどの傾向が見えてきます。これは社内で他部署と交渉に行くときなども同じ傾向が見られます。
でもここで「ヒアリングしなさい」という指導をしてもあまり意味がありません。まず、なぜヒアリングが苦手なのかを考える必要があります。苦手な理由はいろいろありますが、実は「ヒアリングをすることで、自分の知らない話題に展開していくのが怖い」というケースが多いのです。そうと分かれば、「分からない話になったら『宿題にさせてください』と言って持って帰ってこい」とフォローできます。
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