上西、松居騒動になぜトランプが登場するのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
上西小百合議員のTwitter暴言と、松居一代氏の離婚問題騒動が盛り上がっている。興味深いのは、両ケースとも米国のトランプ大統領とからめた話が出ていることだ。なぜ大統領の名前が出てくるかというと……。
上西議員はトランプを見習うべき
トランプとの比較で言えば、「他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ」「くたばれレッズ」といった今回の上西議員の発言は、数々のトンデモ発言をしてきたトランプよりも数段ひどいもので、トランプもびっくりするのではなかろうか。例えば、ゴルフが大好きなトランプは、最近も全米女子オープンの結果についてツイートし、韓国人プレーヤーの優勝を祝う言葉を7月16日にポストしている。純粋に、「優勝おめでとう」と。上西議員なら、優勝しなかった選手やそのファンを罵倒したかもしれないが、“大人気ない”との評判のトランプですらそこまで“大人気ない”ことはしない。
トランプのツイートが全体を通して「建設的」かどうかは賛否あるが、少なくとも、自分と勝つか負けるかの対立をしている敵を罵倒することはあっても、一生懸命戦ったアスリートとファンをコケにすることはない。
基本的にトランプがツイートで攻撃をする相手は、自分に否定的なメディアやセレブ、そして政府関係者だ。あとは選挙公約に絡む一部の人たち(イスラム教徒やメキシコ人)のみである。もちろんメディアを容赦なく「病気だ」と大統領らしくない物言いをしたり、あからさまな嘘をついたり、自分が主役のイベントでは参加人数を笑ってしまうほど盛ったりするが、そうした言動そのものは人に迷惑をかけない。
トランプとの比較にかみつく前に、上西議員はトランプを見習うべきである。国会議員としての公務と一切関係ないサッカーについてコメントしたいなら、負けた側を口撃するのではなく、視点を変えて、トランプのように勝った側に祝いの言葉を投げかけるべきだっただろう。それが大衆を代表する人としての最低の品格であり、国会議員に求められる「ポリティカルコレクトネス」である。もし上西議員がどこかの政党に属していたら、あんな傍若無人な発言は決して許されないはずだ。
上西議員は、繰り返しになるが、ポリティカルコレクトネスが極めて欠如していると世界的に評されるトランプ大統領から学んだほうがいい。トランプですら、純粋にスポーツチームを応援しているファン(子ども大勢いる)に対して、「他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ」というような的外れなコメントはしない。上西議員こそ、Twitterでの炎上に自分の人生を賭けている場合ではない。
もっとも、上西議員には炎上をあおってきた“前科”もあるし、今後も同じことを繰り返すに違いない。上西議員がトランプに似ているところがあるとすれば、打たれ強いところだろうか。
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