上西、松居騒動になぜトランプが登場するのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
上西小百合議員のTwitter暴言と、松居一代氏の離婚問題騒動が盛り上がっている。興味深いのは、両ケースとも米国のトランプ大統領とからめた話が出ていることだ。なぜ大統領の名前が出てくるかというと……。
トランプに失礼なのかもしれない
ただ先週、そこに新たな進展があった。これまで一貫してメディアの取材要請を断ってきたという松居氏は、『週刊新潮』に対して、インタビューなど全面的な協力を行ったのである。トランプもそうだが、結局、既存の大手メディアとのインタビューがTwitterなどSNSの発言力を補完するには有効だと認識しているため、タイミングを見ながら選り好みしたメディアに登場する。松居氏もYouTubeだけで話題性が下火になってしまう前に、週刊誌に言い分を載せてもらったということだろう。
また松居氏の場合、新潮の読者はYouTubeなど使わない年齢層の高い人たちが多いので、そこにアピールする狙いもあったはずだ。
とにかく、ひとつ確かなことは、松居氏も上西氏と同様に、トランプばりにメディアで大きく取り上げられることに成功していることだ。一方で、2人とトランプとの決定的な違いは、この2人の話題が今消えてもほとんどの人は困らないが、トランプの場合は3億2000万人以上の米国民の生命・財産と、世界随一の超大国の行方がかかっていることである。
そう考えると、上西議員と松居氏の騒動はますます不毛に感じてしまうのだが、そもそもトランプと比較すること自体、トランプに失礼なのかもしれない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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