ドコモ、減益も「計画通り」 クーリングオフ問題は「改善」:「docomo with」などは好調
NTTドコモが2018年3月期 第1四半期の連結決算を発表。顧客還元施策の影響で減益となったが、吉澤社長は「計画通り」と自信を見せる。6月に問題となった、端末のクーリングオフ時にスタッフが説明を怠っていた問題は改善に向かっているという。
NTTドコモが7月27日発表した2018年3月期 第1四半期(17年4〜6月期)の連結決算は、売上高に当たる営業収益は前年同期比2.5%増の1兆1367億円、営業利益が7.0%減の2783億円、純利益は8.2%減の1899億円だった。
主力の通信事業で、大容量データプランの「ウルトラパック」や子供向けに「dポイント」などを無料で提供する「子育て応援プログラム」などの顧客還元施策を展開した影響で、収益が減少したことが響いた。
吉澤和弘社長は「減収は計画通り。この傾向は上半期終了まで続くが、現在取り組んでいるコスト削減などが奏功し、下半期には増益となる予定。年間業績予想は確実に達成できる」と話す。
セグメント別の業績
セグメント別では、通信事業の営業収益が3.3%増の9243億円、営業利益が10.7%減の2414億円。前述の顧客還元施策の影響で収入は減少したものの、家庭用データ通信サービス「ドコモ光」は契約者数が85.8%増の384万契約に急拡大するなど好調だった。
携帯電話契約数も5%増の7511万契約と堅調に推移。5月に開始した長期利用者向けの優遇プラン「docomo with」、特定の条件を満たしたユーザーは家族通話がかけ放題になる「シンプルプラン」も好調で、累計で前者は約30万契約、後者は約40万契約を獲得している。
スマートライフ領域は、営業収益が横ばいの2201億円、営業利益が27.7%増の369億円。うち「dカード」など金融・決済サービスや、スポーツ動画ストリーミングサービス「DAZN for docomo」などを含むスマートライフ事業は減収減益だったが、法人向けソリューション事業や携帯電話保証サービス事業の好調でカバーした。
スマートライフ事業が苦戦した要因について、吉澤社長は「グループ企業『D2C』の取引形態が変わり、収益・費用を純額での計上に変更した影響。金融・決済サービスは順調に伸びており、計上方法の変更がなければプラスとなっている」と説明する。
dカードの契約数は、入会キャンペーンの効果などにより132万契約増の1800万契約に達した。dポイントの会員数は382万人増の6232万人に上ったほか、dポイントの付与・決済に対応した提携企業は2.8倍の138社に増加した。
外部のパートナー企業にドコモの決済サービスなどを提供し、ビジネスを拡大する施策「+d」のパートナー数は2倍超の291社に拡大。吉澤社長は「今後もさらに他社との共創を加速していきたい」と意欲を見せた。
クーリングオフ問題への対応は?
ドコモは6月、端末の電波のつながり具合が悪かった場合や、スタッフの説明が不十分だった場合に、契約から8日間以内であれば違約金なしで解約できるクーリングオフ制度「確認措置(8日以内キャンセル)」の運用が不適切だったとして、KDDI・ソフトバンクと共に総務省から行政指導を受けた。
決算会見での質疑応答では、この問題が発生した原因について報道陣から質問が挙がった。
これに対し吉澤社長は「ユーザーが端末の契約書類にサインした場合、適切な理解が得られているものと判断して制度の説明を割愛していたため」と説明。「現在、改善を進めている段階」という。
具体的には、ショップスタッフへの研修を進めているほか、同社公式サイト上で制度の運用をあらためて告知。16年5月18日〜17年7月2日の間に同制度の利用を申請したものの、スタッフの説明不足などによって端末を解約できなかったユーザーに対し、さかのぼっての契約解除に応じる取り組みも始めた。
また、従来はユーザーが同制度の利用を検討している場合、購入店舗でのみ問い合わせに応じていたが、今後は専用の受付センターを設け、柔軟に顧客対応を行う体制を構築していくという。
吉澤社長は「体制の改善を始めた7月以降、同制度を使用した解約が増えている。今後はこうした指摘を受けないよう、しっかりと取り組みを進めていきたい」と話している。
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