Uberのセクハラ騒動が、私たちに教えてくれたこと:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
世界的なIT企業が集まるカリフォルニア州のシリコンバレーがざわついている。「セクハラ問題」だ。騒動の発端は……。
セクハラを赤裸々に暴露
2017年に大騒動になったこのシリコンバレーのセクハラ問題は、カーシェア大手「Uber(ウーバー)」がきっかけのひとつとなったと言える。17年2月19日、ウーバーのエンジニアだった女性が自身のWebサイトで、会社で働いていたときに受けたセクハラについて赤裸々に暴露した。
「勤務初日からセクハラが始まった」と書くこの元エンジニアの女性は、このように述懐している。「新しいマネージャーが社内チャットでメッセージを送ってきた……マネージャーは自分の彼女とは浮気を許しあうオープンな関係で、彼女はすぐに新しい性交渉のパートナーを見つけているが、自分はなかなか見つからないと書いてきた。彼は職場でトラブルを起こしたくないのだが、女性のセックス相手を探そうとするあまり、問題になってしまうこともあるという。彼が私をセックスの相手にしようとしていたのは明らかだった」
まともなビジネスパーソンであれば、初出勤の女性にこんなメッセージを送るなんて考えられない。まともでないのは、元マネージャーだけでない。元エンジニアは、このやり取りを人事部に相談したが、彼女の苦情は放置され続けたという。このケース以外にも、ラスベガスへの社員旅行で上司から胸をもまれた女性がいたり、会議中に同性愛者への差別用語を叫ぶ人がいたり、セクハラに悩んでいた女性社員をかわいそうだと思って、代わりに会社に報告してクビになった男性職員もいた。
元エンジニアの女性によると、社内のセクハラ体質により、以前は社員のうち25%ほどを女性が占めていたが、1年後に彼女が退社する時には3%にまで減っていたという。当然だろう。
この暴露によって、社内調査を余儀なくされたウーバーは、結局、セクハラなどで幹部を含む20人を解雇することに。しかも同社については、インドでウーバーの運転手が14年に女性客をレイプして告発された事件をうやむやにしようとして、アジアトップが17年6月に更迭されている。こうした問題の責任と問われたトラビス・カラニックCEOは、6月20日に辞任に追い込まれている。
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