伸び悩むヴィレヴァン、越境ECに注力 tensoと提携:海外店舗事業は撤退が続くが……
「遊べる本屋」をコンセプトに独自路線で成長してきた書店「ヴィレッジヴァンガード」が、tensoと業務提携し越境ECに力を入れる。国内は売り上げが伸び悩み、海外展開では撤退が続いていた。
書籍や雑貨を販売する「ヴィレッジヴァンガード」が、海外向けEC販売(越境EC)に力を入れる。8月2日には、ヴィレッジヴァンガードのオンラインストアを運営するVillage Vanguard Webbedが越境ECのサポートを行うtensoと業務連携を発表。国内は売り上げが伸び悩み、海外展開では撤退が続いたヴィレッジヴァンガードだが、越境ECで成長を狙う。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーションの2017年5月期(16年6月〜17年5月)の連結業績は、売上高356億8000万円(前年比23.7%減)、営業利益2億1500万円(前期は2億7100万円の赤字)、純損失は6億1800万円(前期は43億5300万円の損失)。赤字の大幅な改善は、業績が悪化していたエスニック雑貨を販売する子会社のチチカカを売却し切り離したことによるものだ。
「遊べる本屋」というコンセプトのもと、独自の品ぞろえが評価されてきたヴィレッジヴァンガードだが、国内での成長は鈍化している。客単価は対前年を上回ったものの購買客数が対前年を下回り、大幅な減収となった。
一方海外展開も苦戦が続き、海外の店舗事業は撤退を決めた。台湾と香港に現地法人を設立したが、台湾は会社清算を行い、香港は16年6月末で店舗を閉店。その代わりに力を入れ始めるのが越境ECだ。
提携するtensoは、越境ECでの代理購入サービス「Buyee」を展開している。ヴィレッジヴァンガードオンラインストアに海外からアクセスすると、Buyeeに遷移し、海外ユーザーはBuyee上で買い物できる仕組みだ。Buyeeでは日本語、英語、中国語(繁体・簡体)の表示言語、海外で主流の決済手段(Alipay、銀聯カードなど)、複数の配送手段が選択でき、カスタマーサポートも多言語対応している。
越境ECの送客につなげるリアルプロモーションとして、台湾で8月開催の漫画展「2017 漫畫博覽會(まんがはくらんかい)」にヴィレッジヴァンガードとtensoが共同で出展する。 女性同士の友情や愛情を表現する「百合」をテーマにした展示を行い、現地の消費者にアピールするという。
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