三井住友海上、シンガポールの損保会社を買収 理由は?:約1755億円を投じて買収
三井住友海上火災保険が、シンガポールの損害保険会社First Capital Insurance Limitedを買収すると発表した。お互いのビジネスにおいて高い補完効果が見込めるため。買収費用は約1755億円。
三井住友海上火災保険は8月24日、シンガポールの損害保険会社First Capital Insurance Limited(FC)を買収すると発表した。三井住友海上は企業価値向上に向けて海外事業に注力しており、買収によってASEAN地域での地位確立を図る狙い。
FCの株式の97.7%を、親会社であるカナダのFairfax Financial Holdings Limitedから取得する。取得価格は諸費用込みで約1755億円。2017年度第4四半期(18年1〜3月)の買収完了を予定している。
三井住友海上はFairfaxともパートナーシップを締結し、海外事業のさらなる成長を目指すとしている。
買収するFC社の特徴は?
FCはシンガポールを中心にASEAN地域のローカル企業の保険引き受けに強みを有する損保会社で、収入保険料はシンガポールの保険業界トップに位置している。
地域・種目ごとの引き受けリスクや自然災害リスクの引受が抑制されており、収益が安定している点が特徴。14年12月期〜16年12月期は、それぞれ約70億円の純利益を計上している。
主力商品は大企業向けの火災保険と船舶保険で、売り上げの6割超を占めている。
三井住友海上は「当社はアジアにおいて、日系の中小企業や、日本企業の現地法人、リテール(一般消費者)向けのサービスに強みを持っていた。当社がカバーできていなかったローカルの大企業に強みを持つFCとは高い補完効果を見込めると判断し、買収を決めた」(広報担当者)と理由を説明する。
三井住友海上は今後、FCと共同で、アジア地域で一般消費者向けの新規ビジネスも展開していく方針だ。三井住友海上は「詳細は未定だが、人工知能(AI)などのデジタル技術を活用したサービスを予定している。内容は決まり次第開示する」(同)と話している。
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