“終活”展示会で「孤独死・ごみ屋敷」再現模型に出合った:遺品整理の仕事とは?(2/2 ページ)
“終活”ビジネスの展示会で、「孤独死・ごみ屋敷ミニチュア展示中」とポップを掲げるブースがあった。遺品整理クリーンサービスのToDo-Companyだ。ミニチュアを制作した25歳の女性社員に、制作意図や「遺品整理の仕事とは?」を聞いた。
「特殊清掃」という仕事
――この仕事のやりがいはどのようなところにありますか。
この仕事は、人間模様が見えますし、普通の仕事では知りえないことを知ることができます。孤独死や自殺などがあった場合、ご遺族は「賃貸なのにどうしよう」などと現実的な不安があり、泣くに泣けないんですよね。しっかりクリーニングして、臭いもとれて、そこでようやく不安がなくなり、故人を思い出して涙を流す方がいます。嫌なことがあっても「真面目にこの仕事に取り組んでいてよかった」と思う瞬間ですし、感情移入して泣いてしまいますね。
――そうしたやりがいがある一方で、この仕事は人手不足の問題もよく聞きます。
そうですね、新しく入ってくる方はほとんどいません。重いものを動かすので肉体的にもきついし、臭いも強い。それから、怖い話のイメージがあるので、「呪われるんじゃないか」という人もいます。でもそう聞かれると、「私たちは亡くなった方から恨まれるようなことはしていないので、呪われるなんてことはないですよ」と否定しています。故人の思いがあるとしたら、「まさか自分が亡くなるとは思っていなかった。早く見つけてほしい」でしょうし、そうであればこの仕事はむしろ感謝されるのではないでしょうか。
私はこの会社に22歳で入社しました。「中途半端な気持ちではできない」と思い、いったんは違う企業に就職もしたのですが、やっぱりこの仕事をやりたかったんです。ただ、ほとんどの人はそうした気持ちでは入ってこないですね。条件面で入ってきても、壮絶な現場に行って、すぐ辞めたり、連絡なしでいなくなったり、故人や遺族に感情移入してどうしても心情的にダメになってしまったりで、長く続く方は少ないです。
――この仕事に向いているのはどんな人でしょうか。
精神面でいうと、男性よりも女性の方が、仕事が終わった後の気持ちの切り替えができるという意味で向いているかもしれません。ただ、清掃は力仕事でもあるので……。弊社でも女性の作業員は私しかいません。入社してから筋肉がついて5キロ増えてしまいました。
――孤独死が社会問題として知られるようになっていますが、清掃の依頼は増えていますか?
もともと数多くの依頼を受けているので、大きな変化は感じませんが、年々件数は増えているかもしれません。毎日仕事が入っていて、展示会に出展している今日も、他のスタッフは現場に向かっています。
件数よりも変化を感じるのは、ご遺族の亡くなった人への態度です。もちろん悲しんでいる人もいますが、写真など思い出が残った遺品も含めて「全部いらないから捨てちゃって」とドライに言う方が増えました。「年々情が薄くなっているな。自分が子どもを産んだとしても、いろいろ考えてしまうな……」と思いますね。
関連記事
- 天国で喜んでいる? お葬式の「早割」チケットが売れている
事前に500円を支払えば、葬儀代が安くなる「早割」というサービスがある。「生前に死を考えるなんて不謹慎」と思われるかもしれないが、ひそかに売れているのだ。同サービスを扱うユニクエスト・オンラインにその理由を聞いたところ……。 - 葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた
不透明な葬儀業界において、明朗会計で料金をガラス張りにした会社がある。それは、名古屋市に本社を置く「ティア」。葬儀代金をオープンにして、価格を安くしたら、すぐに“嫌がらせ”を受けたという。同社の冨安徳久社長に話を聞いた。 - 葬儀の供物、誰が出すの? その料金は?
葬儀に参列すると、果物や缶詰などのカゴが置いてあるのを見かけます。一般的に、これらは「供物」と呼ばれています。今回は、葬儀の供物について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.