小田急の特急ロマンスカーが残した足跡:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)
小田急ロマンスカーの60周年を記念して、横浜駅から徒歩数分の原鉄道模型博物館で特別展「小田急ロマンスカー物語」が始まった。流線型に展望車、子どもたちの憧れだったロマンスカー。その功績は小田急電鉄の業績向上にとどまらず、世界の高速鉄道誕生のきっかけをもたらした。
2018年3月 新たなロマンスカー時代へ
小田急電鉄は東北沢〜和泉多摩川間の複々線化工事を進めており、2018年3月に完成予定だ。代々木上原〜和泉多摩川間で急行用の線路と各駅停車用の線路が分離される。上り線については、すでに和泉多摩川〜登戸間も線路2本となり、急行線が分離されている。
この複々線化、連続高架立体化の完成を受けて、小田急電鉄は18年3月にダイヤ改正を予定している。新型車両70000形が運行を開始し、朝の通勤客向け上りロマンスカーが増発される予定だ。現在も小田原線内の主要駅に停車する「さがみ」が多数設定されており、通勤通学、買い物客にも便利な列車である。朝に新百合ヶ丘発の箱根湯本行きロマンスカーが設定されており、これも沿線地域の価値の向上に一役買っている。
小田急の長距離運賃収入という柱を支え、世界の高速列車時代に影響を与えたロマンスカーは、現在、沿線に快適な通勤サービスを提供するという新たな役目が与えられている。18年のダイヤ改正で、ロマンスカーがどんなラインアップになるか楽しみだ。
2018年3月に登場予定の最新型ロマンスカー70000形の外観イメージ。3000形はSE(Super Express)、3100形はNSE(New Super Express)、7000形はLSE(Luxury Super Express)、10000形はHiSE(High Super Express)、20000形はRSE(Resort Super Express)、30000形はEXE(Excellent Express)、50000形はVSE(Vault Super Express)、60000形はMSE(Multi Super Express)。さて、70000形は○SEになるか?
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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