酒飲みの相棒「ハイサワー」 成功の舞台裏:あの会社のこの商品(4/4 ページ)
焼酎を割って飲む場合、かつては水かお湯しかなかった。しかし現在は、飲食店に行けば、焼酎をさまざまな割り材で割ったサワーが当たり前のように置かれるようになった。この新しい飲み方を広めたきっかけの1つが、博水社のハイサワーである。誕生から現在までの軌跡をお伝えする。
美尻グッズとハイサワー号で知名度アップに貢献
ハイサワーは、飲食店向け、一般向けともに注目を集めている。レモンサワーブームが追い風になっているのもあるが、同時に最近の好調は、趣向を凝らした知名度アップ策が実を結んだ結果でもある。その代表例が、2010年から始めた“美尻グッズ”だ。
美尻グッズは、テレビ朝日の番組『タモリ倶楽部』が09年に同社にロケで訪れたことがきっかけで始まったもの。放送されたエリアから問い合わせが殺到したことから、番組のオープニングでおなじみの尻にあやかって美尻ポスターをつくったのが始まりだ。その後、カレンダーを作成し飲食店に渡していたところ、「欲しい」という問い合わせが多くあったことから、10年に一般販売を開始。以来、グラスやメガネクリーナー、マグネット、タオルなどアイテムを追加してきた。
もう1つの代表例が、ハイサワー号である。トラックをベースにつくった宣伝カーで、ハイサワーのペットボトルを模した巨大なオブジェを背負っている。
ハイサワー号に限らず、同社は営業車も「割るならハイサワー」とラッピングするなど、クルマを広告媒体として活用している。「旅客機や電車をラッピングすることはお金がかかってできませんが、少ないながらもクルマを使うのは中小企業らしい宣伝のやり方だと思います」と田中秀子氏は話す。
昔に比べ、お酒の飲み方は多様化してきている。常に飲食店や街の酒飲みから学んできた同社は、これからどのような新商品や飲み方を提案するのだろうか。お酒の飲み方は無限大である以上、柔軟に使える割り材はまだまだ大きな可能性を秘めている。
著者プロフィール:
大澤裕司(おおさわ・ゆうじ)
フリーランスライター。1969年生まれ。月刊誌の編集などを経て、2005年に独立してフリーに。工場にまつわること全般、商品開発、技術開発、IT(主に基幹系システム、製造業向けITツール)、中小企業、などをテーマに、雑誌やWebサイトなどで執筆活動を行なっている。著書に『これがドクソー企業だ』(発明推進協会)がある。
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