はてなの新規上場を支えた「コミュニケーション」:上場に必要なチーム力(2/3 ページ)
新規上場を実現するまでには、企業の成長性や健全性などをステークホルダーに証明することが必要だ。2016年2月に東証マザーズに上場した、はてなの取り組みとは? キーワードは「コミュニケーション」だ。
コミュニケーションを丁寧に
社内の制度やシステムを一から見直していく過程には、さまざまなコミュニケーションが必要だ。社内のプロジェクトチーム内はもちろん、事業を担う部署や上場準備を支える証券会社、監査法人、コンサルティング会社など、全ての関係者がチームとしてまとまらなければ先に進めない。
なぜなら、まずは東証や証券会社の担当者に理解してもらえる制度やシステムに変えていくことが重要だからだ。独自開発して使っていた情報共有や承認のシステムがその1つ。意思決定のフローや決定に伴う責任者、権限などを明示できる仕様に変え、決定の流れや内容を客観的に説明できるようにした。「働き方に合った良い部分を残しながら、機能追加したり運用フローを変更したりした」(田中氏)
上場審査中は、「東証ととにかく丁寧にコミュニケーションを取ること」(田中氏)を意識した。上場準備には複雑な業務が膨大にあるが、「書類提出の締め切りに遅れない」「約束を守る」といった基本的なコミュニケーションをおろそかにしないこと。そのような意識と行動の積み重ねが、結果的にスケジュール通りの上場につながったのかもしれない。
「東証からの質問への回答について『口頭でもいい』と言われていたとしても、やはり文書があった方が、担当者の方が上司に説明しやすい。本気で審査していただいているのだから、こちらも本気でやらないと」(田中氏)
スケジュールに沿って大量の業務をこなしているのは相手も同じ。丁寧なコミュニケーションによって、それを読み取ることもできたようだ。
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