コラム
過熱するデジタル人材の獲得競争:乗り遅れるな(4/6 ページ)
世界規模でデジタル人材の獲得が過熱している。本記事では経営コンサルタントとしての視点から、今後どのような視点で企業の採用・育成が行われるべきかについて論じていく。
テクニカルデザイナーの採用
欧米ではテクニカルデザイナーの需給がひっ迫し、人件費の高騰が顕著である。APPRIOによる米国・英国の従業員500人以上のCxOへの調査では約90%の企業でIT人材の採用に課題感を持っている。また、米国労働統計局のデータによると、2014年5月時点のSoftware Developers and Programmersの平均年俸は9万5280ドルで、日本円で1000万円以上(14年平均為替レートで換算)に高騰している。
一方、日本のテクニカルデザイナーは欧米に比べて人件費が低いが、技術力を起点としたイノベーションを得意としない。その背景として、3点の課題が考えられる。まず、多くがSI企業またはその下請け企業に勤務しており、日々の業務は受託開発が中心のため、技術シーズベースのプロアクティブな取り組みが求められない(図3)。次に、SI企業を頂点としたピラミッド構造の中で仕事の進め方・開発ツールなどが独自となっており、海外と共通の業務プロトコルを持っていないケースが多い。最後に、英語の壁があるため、グローバルなコミュニティとの接点が少ない。つまりは、日本ではテクニカルデザイナーの業務および人材マーケットがガラパゴス化しがちである。
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