IoTで「コインランドリー」はどう変わる?:店舗運営をスマートに
家電メーカーのアクアが、IoTを活用したコインランドリーの運営システムを開発した。遠隔地から機器の操作や各種設定ができる点が特徴で、店舗オーナーの利便性を向上するという。
家電メーカーのアクアは10月5日、IoT(モノのインターネット)を活用したコインランドリー運営システムを発表した。遠隔地から機器の操作や各種設定ができるのが特徴で、店舗オーナーの利便性向上が主な狙い。不具合発生時などに、オーナーが機器操作のために実店舗を訪れる手間を解消できるという。
システム名は「AQUA次世代 Cloud IoTランドリーシステム」。機器の稼働状況をリアルタイムで取得でき、来店者から「洗濯機が止まった」「入金が反映されない」などの連絡があった場合は、Webブラウザ上の管理画面で状況を確認した上で「『すすぎ』から工程をやり直す」「硬貨を返金する」などの遠隔操作が可能だ。
機器の利用時間などに応じた料金体系を遠隔地から細かく変更することもできる。売り上げデータや顧客データの取得も可能。各種データの管理には日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を使用する。
システムに対応した新型機器を11月上旬に発売し、システム自体は12月から提供を始める予定。導入目標数は非公開。
アクアの吉田庸樹COOは「当社は『暗くて入店しにくい』というコインランドリーのイメージを払拭すべく技術革新を続けてきた。今回発表した新システムは、ランドリー業界の業務を変革する『デジタルトランスフォーメーション(DX)』といえる」と自信を見せる。
ポイントサービスなどに対応したマルチ端末も発売
IoTシステムの導入と並行し、接客用のマルチ端末も11月上旬から展開していく予定。
マルチ端末は、リピート客獲得に向けたポイントサービスなどに対応した点が特徴で、端末上でポイントカードの発行とチャージ、割引クーポンの出力などが可能。ポイントの付与率や割引クーポンの内容は、店舗オーナーが遠隔設定できる。
領収書の発行や両替など、コインランドリーに欠かせない機能も搭載する。決済にも対応しており、複数のランドリー機器を使用する場合などに利用金額を一括で支払うことが可能だ。
電子マネーや異業種とのコラボも目指す
アクアは今後、異業種他社とのポイントサービスの連携や、「Suica」など電子マネーを使用した決済への対応を目指して開発を進める予定。
ランドリーグループの秋馬誠マネジャーは「ゆくゆくは、エリアごとの天気と稼働状況をもとに需要予測を算出するサービスなど、クラウド上に集積したビッグデータを活用した新事業の創出につなげたい」と展望を話す。
吉田COOは「当社はランドリー機器の国内市場の75%を占めているが、競合他社も力をつけている。シェアをさらに拡大できるよう努力していきたい」と話している。
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