なぜ「ブッキング・ドットコム」の売り上げが伸びているのか、秘密を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(オランダ公演)(5/6 ページ)
オンライン宿泊サイトを運営するBooking.com(ブッキング・ドットコム)を利用する人が増えている。サイトを見ると、シンプルなデザインなのに、なぜユーザーが増えているのか。本社があるアムステルダムで話を聞いたところ……。
スマートフォンでの料金表示
エンギスト: では、最後のABテストをご紹介します。下の図はスマートフォンで見たものになります。よーく見ると、料金の位置が違いますよね。左の図は料金を左側に表示していますが、右の図は真ん中にしています。違いはこれだけ。
なぜこのようなテストを行ったかというと、社内で意見が分かれたから。左側がいいという人からは「英語は左から読むので、最も知りたい情報(料金)は左側に掲載すべきだ」「PCで見ると、左側に掲載されている」といった声がありました。一方、真ん中がいいという人からは「スマートフォンのような小さな画面を見る場合、真ん中を見る傾向がある」といった意見がありました。さて、テストをしたところ、どのような結果が出たと思いますか?
A:料金を左側に表示した
B:料金を中央に表示した
C:どちらでも、成約率は変わらない
――答えは……「B」かな。理由は、なんとなくです。真ん中にしたほうが見やすいかなあと。
エンギスト: 正解です。ブッキング・ドットコムで働くことができますね(笑)。当社のサイトはトラフィック(情報量)がものすごく多くて、毎日150万ほどのデータを分析することができます。文言を大きく変化させることもありますし、小さく変化させることもあります。何より大切なことは、その変化は効果があるのかどうか。膨大なデータを分析して、成約率がよくなるかどうかを判断しなければいけません。
――なるほど。ユーザーが宿泊施設を申し込みたくなるように、ABテストを繰り返すことでサイトを最適化しているわけですね。
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