そのセルフブランディング、めっちゃ“痛い”ぜ: 常見陽平のサラリーマン研究所(3/3 ページ)
セルフブランディング――。この言葉は誤解されているように思う。自分をよく見せる、背伸びする痛い行為にすり替わってしまった。本当のセルフブランディングとは、自分の仕事の流儀(ルール)を明確にすることだ。
セルフブランディングの成功事例を紹介
私が直接、見聞きしたセルフブランディングの成功事例をいくつかご紹介しよう。
会う度に必ず、役に立つ情報共有をする人
商談のたびにニュースのコピーを持参。これをフックに情報を引き出し、またはニュースへの食いつきを見つつ、商談につなげる。「この人の言うことは、役に立つ」というブランディングを実現している。
隠し玉の提案を毎回、持ってくる人
本来の話とは別に、まだ相手には知らせていない面白い提案をする。スベると痛いが、面白いことを考える人というブランディングができる。
驚異的なファシリテーションをする人
カラフルなペンを駆使して、会議を仕切るなど。「ここまで分かりやすいとは」と、感動を呼ぶ。
時間、締め切りに厳しい人
時間を守ることは当たり前だが、実はできていない人が多い。これはかなり大事。絶対に商談に遅刻しない、提案書などの締め切りを守る。特に提出物に関しては、相手から「早いね!」と言ってもらえるスピードが理想。
まだまだあるが、この辺で。ちなみに私がセルフブランディングのためにこだわっているルールは、打ち合わせのときに相手を楽しませる(良い空気をつくる)ことだ。
さて、あなたの仕事のルールはなんだろうか。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。
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