「クルマを止めない」手助けを ブリヂストンのデジタル変革:タイヤ使用をデジタルで効率化(1/3 ページ)
タイヤメーカーで世界トップシェアのブリヂストン。事業用車両を保有する顧客企業に対する、「クルマを長く安全に動かす」ためのソリューション提供に力を入れる。デジタル変革に取り組む背景には、ある危機感があった。
クルマを動かすために重要な役割を果たすタイヤ。特にトラックやバスなど事業用の車両を扱う企業では、車両が故障することなく効率的に動くことが生命線になる。そのため、タイヤの責任は重い。
タイヤメーカーにおいて世界トップシェアを誇るブリヂストンは、デジタル変革によって事業用車両を保有する企業のニーズに対応している。2017年1月に「デジタルソリューションセンター」を新設。センター長の増永明氏は「お客さまが求めているのはタイヤだけではなく、クルマを長く安全に動かすソリューション。それを提供するためにはデジタル化が必要」と説明する。
タイヤという“モノ”から、タイヤを効率的に使うという“コト”を提供するメーカーに変貌を遂げているブリヂストン。その狙いやソリューションの事例などを聞いた。
シェア低下で危機感
シェアトップのブリヂストンに、なぜビジネスモデルの変革が必要なのか。その背景には、新興メーカーの台頭に対する危機感がある。
05〜15年のタイヤ市場の変化を見ると、シェア上位のメーカーの顔ぶれは変わらないものの、中国や韓国などの新興メーカーがじわじわとシェアを奪いつつある。市場全体は拡大傾向にあるが、ブリヂストン、仏ミシュラン、米グッドイヤーの上位3社を合わせたシェアは、5割強から約4割に縮小した。
高品質のタイヤを製造して販売するだけのビジネスモデルでは限界がある。増永氏は「売り切りのビジネスではなく、ソリューションプロバイダーとして差別化していく必要がある」と話す。顧客の困りごとを解消できる商品とサービスを提供するソリューション提案に舵を切った。
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