同じ駅なのに、なぜ「駅名標」の書体が違っているのか:水曜インタビュー劇場(もじ鉄公演)(7/7 ページ)
駅名が書かれている「駅名標」をじっくり見たことがあるだろうか。よーく見ると、鉄道会社によって書体が違っていたり、同じ駅でもデザインが違っていたり。また、全国的に新しいモノを設置する動きが広がっている。なぜ、このようなことが起きているのかというと……。
大阪の地下鉄に注目
土肥: もうひとつの注目ポイントを教えてください。
石川: それは大阪市営地下鉄。例えば、西長堀の駅名標を見ていただけますか。これは「ひげ文字」と呼ばれているモノで、ところどころに黒い筋があるんですよね。レトロ感があっていいのですが、2018年4月に民営化されるので、長く親しまれたロゴマークもなくなるはず。もじ鉄としては、できるだけ多くの駅名標を記録していかなければいけません。
土肥: 2004年に営団から東京メトロに変わるときも、営団の「S」マークがなくなるので、それを惜しむ人がたくさんいました。同じようなことが大阪の地下鉄をめぐって起きているわけですね。
石川: はい。数年ほど前から、全国の駅名標が新しく変わるペースが速くなっているのですが、なかには「こんなところまで……」と驚きを感じるようなケースもあるんですよ。外国人観光客に対応するために、地方ローカル線の駅も外国語だけでなく駅ナンバリングを加えているのですが、その駅でどのくらいの外国人が利用するのか。月に1人いるかどうかと思われるような駅でも、駅名標に駅ナンバリングが追加されているんですよね。なぜこうした現象が起きているのかというと、自治体の中には「インバウンド対応のために、補助金を出しますよ」といったところがあるから。
土肥: 鉄道会社としては「支援してもらえるんだったら、新しいモノにしようよ」といった動きになりますよね。
石川: このような背景があることを考えると、古い駅名標はこの先あまり長くないのかなあと。だから、もじ鉄の人間としては失われていく駅の文字を「記録」し続けなければいけません。
(終わり)
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