気鋭のIoTベンチャー「ソラコム」 玉川社長が語る急成長の理由:創業2年半でKDDI傘下入り(2/4 ページ)
17年8月、KDDIが創業わずか3年のベンチャー企業・ソラコムを200億円で買収するというニュースがビジネス界をにぎわせた。ソラコムはIoTデバイス専用のSIMカードを手掛けており、3年間で約8000ユーザーまで顧客数を拡大している。なぜ、これほどのハイスピードで成長できるのだろうか。玉川憲社長に話を聞いた。
「通信システムのクラウド化」で低価格を実現
玉川社長は「ソラコムの強みは、安価なSIMカードを素早く顧客に届けられる点。IoTの発展に伴って『今すぐサービスを作りたい』という企業が増えたが、こうしたニーズと合致したことが短期間で多くの顧客を獲得できた要因だ」と説明する。
ソラコムの主力サービスは、ユーザーが1日当たり10円からの従量課金制でSIMカードを利用できる「SORACOM Air」。導入コストが安いほか、通信速度の変更や通信の休止・再開・監視をブラウザ上の管理画面で行える点が特徴だ。
安価なサービスを提供できる理由は、パケット交換、決済、顧客管理、帯域制御――など、通常はデータセンター内の実機が担う作業をクラウド上のソフトウェアに代替させることで、設備投資額を削減しているためだ。
玉川社長は「データセンターを持たなくても、さまざまな通信サービスを提供できる点がソラコム最大の強み。サービス開始時は『うそではないか』と疑われたが、本当に実現している」と自信を見せる。「ソラコムのエンジニアの技術力の高さが、こうしたビジネスを可能にした」という。
顧客に合わせてオーダーメイドのサービスを提供できる点も、高い支持を得ている理由だという。
スマートフォンとつながるIoT自販機「Smile STAND」を展開するダイドードリンコには、膨大なデータをクラウドに転送するシステムをソラコムが代わりに開発する「SORACOM Funnel」と呼ぶサービスを提供。転送システムを自社開発する手間を解消している。
東急プラザのキャンペーン端末と会員システムを安全につなぎたいという東急グループには、データを閉域網で送受信できる「SORACOM Canal」というサービスを提供している。
「当社のサービスは開発を楽にできるだけでなく、セキュリティ面も担保している。こうした点がIoT導入を不安に感じる企業のニーズともマッチし、顧客増につながったと考えている」
関連記事
- 「au HOME」が家電の遠隔操作に対応 「Google Home」とも連携
KDDIが、消費者向けIoTサービス「au HOME」を11月28日から拡充すると発表。米Googleのスマートスピーカー「Google Home」に対応した。赤外線リモコンなど周辺機器も充実させた。 - 「最後の希望の光」モンストと歩んだミクシィの4年間
4周年を迎えたスマホゲーム「モンスターストライク」は、ミクシィという会社を救ったタイトルとしても知られている。モンストのヒットで、ミクシィはどのように変わったのか? 「モンスト」に立ち上げから関わるミクシィ森田仁基社長インタビュー。 - サイバーエージェント社長が明かす「新規事業論」
自ら事業を立ち上げ、会社を成長させていく起業家たち――。本連載では、そんな起業家たちの経営哲学に迫る。今回登場するのは、サイバーエージェントの創業社長、藤田晋氏だ。 - 藤田社長が「AbemaTV」に“ムキになる”理由
サイバーエージェントの藤田晋社長は、なぜ「AbemaTV」を立ち上げたのか。何を目指しているのか。前回に続いて、藤田社長の経営哲学に迫っていく。 - サイバーエージェント社長が実践する「強い組織」の作り方
サイバーエージェント、藤田晋社長の経営哲学に迫る連載。最終回は「組織作り」「マネジメント」を中心にお伝えする。藤田社長が子会社の経営を若手社員に任せる理由とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.