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失敗から学ぶ LIXILが取り組む組織改革と人材育成リスクを軽減するために(3/3 ページ)

海外進出する企業にとって、不正などのトラブルは人ごとではない。海外ビジネスのリスクを軽減するために何ができるのか。LIXILグループが取り組んでいる組織改革や人材育成についてCFOに聞いた。

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財務部門を「逆三角形」の組織に

――取り組みを継続的に進めるためには人材育成も重要となります。

 財務の専門職を育てるために、地域を越えたジョブローテーションも始めています。日本からドイツに出向している2人の社員は、1人は責任者の立場ですが、もう1人は若い社員です。現地の人と一緒に経理・財務の仕事をして、勉強の場にしています。米国にも同じ形で2人出向しています。

 海外派遣は、若いうちに大きな責任を負う経験にもなります。裁量の範囲の中で自分が最終判断をする、という立場に追い込まれるのです。こちらとしては、試練に立ち向かう事で成長してもらいたいという気持ちです。

――最後に、CFOの役割についてどう考えますか。CFOとして取り組む、LIXILグループの今後の課題は何でしょうか。

 多くの日本企業の経理・財務部門は、決算書や有価証券報告書などを決められた通りに提出する、という役割を果たすことに注力しています。しかし、CFOはそれだけではいけません。会社全体の将来を見据え、どんな手を打っていくのか考える必要があります。経営者を数値の面で支える存在です。

 私は3年前、「世界最先端の経理財務部門にする」ことを掲げてCFOに就任しました。まだまだ道半ばだと思っています。

 現状は、経理、財務部門の人員配置はピラミッド型。まだまだ単純な繰り返し業務を行う現場にリソースを割いています。本来ならITやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用して、人間はもっと高度な判断業務をやるべきなのです。現状では、社員の潜在的能力を十分に引き出せていないので、申し訳なく思っています。

 将来的には、その形を逆三角形にしていきます。売掛入金の照合などといった業務は自動化されます。そして、CEOや各国の責任者の近くで参謀として戦略判断を支える、という付加価値の高い仕事に移っていってほしい。そのために、会社としても教育に力を入れていきます。

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