「残ってほしい人材を辞めさせない」 人材大手が取り組む「退職予測」:HR Tech最前線(2/5 ページ)
「活躍している社員が辞めてしまう」――こうした課題を解決するため、人材大手のパーソルホールディングスは、社員の退職確率を予測するプロジェクトを進めている。どのようにして社員の退職リスクを「見える化」しているのだろうか。
「予測」をして事前に対策を
――「人事情報室」を立ち上げた背景について教えていただけますか?
山崎: もともと当社は、人事に関するデータの収集・管理は意識して取り組んできました。しかし、データを集めても現状が分かるだけであり、それをもとに改善策を打ち出していくことしかできてませんでした。
今の状況を知るだけでなく、未来の状況を「予測」することができれば、問題が起こってから対処するのではなく、事前に対策を打てるのではないか。そう考え「人事情報室」立ち上げました。
人事情報室では、グループ全社の社員情報を集約して、さまざまななデータを組み合わせて分析しています。社員の退職リスクを予測するプロジェクトは、約2年前から運用しております。
――どのようにして社員の退職確率を予測しているのですか。
山崎: まず、退職者を含む3500人分の社員情報から「退職予測モデル」(退職する社員のモデルケース)を作りました。分析に使用しているデータは「性別」「年齢」「学歴」「雇用形態」「職種」「役職」「給料額」「昇給変動率」といった基本情報と、配属先ごとの勤続年数などです。
この退職予測モデルと、予測したい社員のデータを比較することで「退職者の傾向と、どのくらい似ているのか」を分析します。その“類似度”を退職確率と呼んでいるのです。
つまり、「辞めてしまった人たちと状況が似ているから、その人も辞めるかもしれない」という仮説を前提に確率を出しています。実際に辞めた社員のデータをこの退職予測の分析に掛けて検証したところ、正解率は90%でした。
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