「一般職」を希望する高学歴が増えている その理由とは:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
このところ、企業側が想定していない職種に学生が就職を希望するケースが増えている。働き方改革が社会的テーマとなっているにもかかわらず、企業のカルチャーは昭和の時代からあまり変わっていない。しかし、若年層を中心に労働に関する価値観の多様化は着実に進んでいるようだ。
企業側の認識は古いまま?
上記に加え、ここ1〜2年は男子学生が一般職での就職を希望するケースも出てきたという。建前上、男女区分は存在していないことになっているが、企業は一般職に女性が従事することを大前提としてきた。ここでも企業側の論理が学生側の意識の変化によって崩されようとしている。
現在、多くの企業では総合職と一般職の2つの区分で新卒採用を行っているが、そもそも企業の総合職と一般職は名目上の区分であり、いずれ機能しなくなるとの指摘は多かった。それはどういうことか。
総合職とは、将来管理職になることが期待される人材の採用枠(いわゆる幹部候補生)であり、一般職は、事務や補助作業などに従事する社員の採用枠である。
昭和の時代までは、幹部候補生として採用するのは男性という暗黙の了解があり、女性は基本的に補助業務に従事するのが当然視されていた。しかし1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことによって男女差別が禁止され、企業は男女別の採用ができなくなった。結果として用いられるようになったのが、現在の総合職と一般職の区分である。
だが、女性が補助作業に従事するという価値観は変わっていない。このため多くの企業が、一般職には平均的な四大卒もしくは短大卒の女性が、総合職には大卒男子と一部の女子が応募してくることを暗黙の了解として採用活動を行ってきた。
つまり、企業側の認識は均等法施行以前から基本的に同じままなのである。企業が設定する採用枠と学生の希望にミスマッチが起き始めているのは、こうした暗黙の了解が瓦解(がかい)し始めたからに他ならない。
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