ホイッスルで世界に立ち向かう、「小さな会社」の勝算:来週話題になるハナシ(2/5 ページ)
さまざまなスポーツで使われているホイッスル(笛)は、どこのメーカーがつくっているのかをご存じだろうか。最大手は、英国のアクメ社。豪華客船タイタニックが沈むときに、乗員たちが持っていたのが、アクメ社のホイッスルだ。そんなホイッスル市場に、日本の小さな会社が挑もうとしている。
ホイッスルの仕組み
まず、ホイッスルとはそもそもどういうものなのか。日本でも多くの人々が学生時代にクラブ活動などで触れてきたことがあるかもしれない。だが、その仕組みや種類などは、意外と知られていないのではないだろうか。
ホイッスルには2種類ある。コルクなど球体の入ったピーホイッスルと、共鳴管のうねりで音を出すビートホイッスルだ。古くからある伝統的なピーホイッスルは、音の強弱を出しやすいが、中のコルクがひび割れたり水分で絡まることがある。
一方で、ビートホイッスルは、コルクがないために水などには強いが、音は一本調子だという。あるメーカー関係者は、「日本のあるスポーツ関連の協会から審判に配られていたものの中に、コルクが入っていないプラスチック製のホイッスルがあったが、音が一本調子だった。選手からは不快な音という声も出ていた」と言う。
私たちがあまり気にすることのない試合中のホイッスルでも、こうした違いがあるのは興味深い。そんなホイッスルだが、現在、スポーツ用ホイッスルの業界では、欧米のメーカー2社がよく知られている。
そのうちの1社が、冒頭で触れた、世界最大で最も有名なホイッスルメーカーである英国のアクメ社だ。アクメ社のホイッスルは、特に英国とコモンウェルス(英連邦)で人気が高い。その歴史は古く、1870年代にスタートしてから、今ではさまざまなスポーツ向けに80種類を超えるホイッスルを作り、119カ国に輸出をしている。ラグビーに限っては、世界のシェアを支配する存在だ。
もうひとつは、カナダのメーカー、Fox40(フォックス40)だ。プロバスケットボールの元審判だった人物が立ち上げた同社は、ピーのないホイッスルを1987年に発売してから、業界で注目の存在になっている。現在では、140カ国以上へ輸出をするほどになっている。
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