えっ、CDプレーヤーが売れている? エスキュービズムの戦略が面白い:水曜インタビュー劇場(隙間公演)(1/5 ページ)
ポータブルタイプのCDプレーヤー市場が面白いことになっている。市場が縮小していくなかで、新興メーカーのエスキュービズムが発売したところ、ある層を中心に売れているのだ。「CDプレーヤーなんてオワコンでしょ」と言われているなかで、どういった人たちが購入しているのか。
ポータブルタイプのCDプレーヤー市場がちょっと面白いことになっている。
「えっ、CDプレーヤー? いまさらなに言ってるの。オワコンでしょ」と思われたかもしれないが、家電製品を製造・販売しているエスキュービズムのCDプレーヤー(4980円、税別)が売れているのだ。2014年に販売したところ、5000台が2カ月で完売。翌15年には7000台、16年は3万台、17年も3万台を超える勢いで売れているのだ。
CDプレーヤーの1号機(16万8000円)が登場したのは1982年のこと。500円硬貨が発行された年にソニーが発売したところ、たちまち話題に。その後、多くの家電メーカーが相次いで参入したこともあって、あっという間に飽和状態に陥る。オーディオ不況も重なってなかなか大ヒットにはつながらなかったが、2年後の84年にポータブルタイプのCDプレーヤーを投入。持ち運びができるプレーヤーは売れに売れ、市場はどんどん膨らんでいく。
国内の出荷台数(ポータブルタイプのみ)は98年に225万台を超え、2001年には259万台に達した。しかし、その年をピークに急減する。何があったのか。当時のアップルコンピュータ(現在:アップル)がiPodを投入したのだ。「最高1000曲をポケットに入れて持ち運べる」ことがウケにウケ、大ヒット。05年にiPod miniが誕生したときには、CDプレーヤーは80万台まで落ち込んでいたのだ。その後、14年には60万台(据え置き型を含む)まで低迷したタイミングで、エスキュービズムが市場に参入するのである。
大手が撤退していくなかで、なぜ同社はCDプレーヤーをつくることになったのか。「音楽はAIスピーカーで聴くようになったよ」といった人が増えているなかで、どういった人が購入しているのか。エスキュービズムの横町亮介さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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