メガネスーパー、M&A奏功で苦境脱却 IoTでさらなる飛躍へ:「b.g.」ついに発売(1/2 ページ)
メガネスーパーが2018年4月期上半期(17年5月〜10月)の連結決算を発表。M&A戦略が奏功し、一時の不振を脱した。今後はウェアラブルデバイス「b.g」を法人向けに展開し、IoT事業も強化する。
不振からの脱却に向け、老舗眼鏡チェーン・メガネスーパーがさまざまな取り組みを進めている。「顧客の目の健康寿命を延ばす」がコンセプトの高付加価値サービス「アイケア」を中心に、M&A(企業合併・買収)を積極的に実施。競合する「JINS」「Zoff」などの格安チェーンとの差別化を図っている。
こうした施策は、業績にどのように反映されたのだろうか。メガネスーパーが12月19日発表した2018年4月期上半期(17年5月〜10月)の連結決算は、売上高が105億8000万円、営業利益が3億5500万円、純利益は1億3300万円だった。前年度第3四半期までは非連結としていたため単純比較はできないが、前年同期の業績を大きく上回った。
顧客が物を見る能力を詳細に調べる「トータルアイプレミアム検査」、顔型やサイズを詳細に計測し、顔のゆがみに合わせて眼鏡を調整する「パーフェクトフィッティング」――といった「アイケアサービス」の充実により、来店者が大幅に増加。眼鏡の売り上げは前年同期比29.8増、コンタクトレンズは29.8%増と好調だった。補聴器も22.7%増と成長した。
同社は08年4月期〜15年4月期までは最終赤字となっていたが、「アイケア戦略」への切り替えによって黒字転換に成功している。
メガネスーパーの星崎尚彦社長(崎はたちさき)は、「高付加価値サービスが伸びたということは、当社が『もの売り』から『こと売り』にシフトした結果が出たということだ」と手応えを話す。
16年末に買収した富山県の眼鏡チェーン「メガネハウス」、17年8月に譲り受けた大阪府の眼鏡チェーン「シミズメガネ」などの子会社も堅調に推移した。星崎社長は「M&Aを積極化したことも利益につながっている。当社の傘下に入ったことで業績が好転し、数年ぶりにボーナスを支給した企業もある」と話す。
M&Aをより柔軟に行うため、下半期からは持ち株会社制に移行。11月1日付で「ビジョナリーホールディングス(HD)」を新設し、メガネスーパーや他の子会社を傘下に収める形とした。今後も「アイケア戦略」に賛同する企業があれば、傘下入りを積極的に受け入れる方針だ。
11月23日には「アイケア戦略」の拡大に向けた旗艦店舗として、都内の高田馬場本店(新宿区)をリニューアルオープン。最新の検査機器を導入したほか、スタッフが首・肩・後頭部の筋肉をほぐし、目の疲れを取る施術を行う「リラクゼーションルーム」を設置。40〜60代の「ミドルシニア世代」のさらなる獲得を目指している。(関連記事)
星崎社長は「高田馬場本店は非常に好調で、顧客単価の上昇と新規獲得を両立できている。今後も立地が良い店舗や、一定のレベルを超えたスタッフが在籍する店舗を新型店舗に転換したい」と展望を話した。
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