中国で話題の「鬼ごっこ」が、世界中に広まるかもしれない:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
中国の「鬼ごっこ」が話題になっている。とはいっても、子どもの遊びではない。現在、中国では監視カメラのシステムが広がっていて、犯罪者が大手を振って歩くことが難しくなりつつあるのだ。どういうことかというと……。
犯罪者が街を歩けなくなる時代
こうした監視活動は中国ほどではないにせよ、今後は世界でもどんどん導入されるだろう。現在では英国が世界でも最も多くの監視カメラが設置されていると言われており、世界人口で1%ほどを占める英国には、世界の監視カメラの20%が集中しているという。お隣の韓国でも監視カメラは増えており、2010年に公共の場所に設置された監視カメラの数は30万個だったのが、2015年の終わりには74万個に増えている。また最近のニュースでは、マルタでも試験的に顔認証システムがスタートする。
こうした技術がさらに磨かれていけば、犯罪者が大手を振って街を歩ける時代はそう遠くない時代に終わりを告げるだろう。そして、それを実現する技術を中国が支える――そんな日も近い未来に来るかもしれない。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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