年末年始はどのように過ごしますか? この時期、オフィスで交わされる定番の質問だ。故郷で過ごす、自宅にいる、職場に行く……など、状況によって過ごし方はさまざま。長い休暇が取れて、旅行の計画がある人も多いだろう。
2018年を迎える年末年始は、年末に3連休はなかったものの、年始の1月4日と5日を休めば長期休暇になる。旅行会社の予測や航空便の予約状況をみると、海外で過ごす人が増える年末年始になりそうだ。
海外旅行者数は過去最高
JTBが発表した年末年始(12月23日〜18年1月3日)の旅行動向によると、海外旅行をする人の数は過去最高の70万4000人。初めて70万人を超えると予想している。方面別では、アジア諸国やオーストラリアの伸びが目立つ。航空便の座席供給量が減ったグアム、サイパン以外の全ての地域で増加するようだ。
これまでの過去最高は13年末の69万9000人だった。JTBによると、それ以降は為替が円安傾向だった影響や国際情勢の不安定化などで海外旅行者数は減っていた。一方、LCC(格安航空会社)の路線が拡充したり、クルーズ船による船旅が認知されてきたりと、「日本人の海外旅行の選択肢が広がった」(JTB)ことで、再び増加に転じた。
旅行に関する消費動向をみると、毎月の家計における旅行費は節約傾向にあるものの、ゴールデンウイークやお盆休みなど大型連休の交通機関の予約は好調に推移しているという。今回の年末年始については、「家計の節約傾向は続くものの、昨年より長い休暇が取りやすく、冬のボーナスも増える見込みであることから、この期間に限っては節約度合いを少し緩め、休暇を楽しむ傾向」(JTB)だと分析している。
航空便の国際線予約も増加
航空便の予約も好調のようだ。成田国際空港会社が発表した年末年始(12月22日〜18年1月3日)の国際線旅客数は前年同期比11.0%増の120万4100人(出国・入国の合計)。17年夏ダイヤ以降に新規就航や増便が多かったことに加え、ハワイなどのリゾート路線や香港などの近距離路線が好調だという。
東京国際空港ターミナルは、羽田空港の国際線旅客ターミナルの利用動向を発表。前年より5.9%増の64万1700人が出入国すると推計している。
航空会社が発表した年末年始(12月28日〜18年1月3日)の予約状況をみると、日本航空(JAL)の国際線の予約数は前年同期比3.1%増。予約率も1.6ポイント上昇し、91.0%に達している。オーストラリア・メルボルン線を新規就航した効果で、オセアニア方面が52.3%増と大幅に伸びた。台湾や韓国といった近距離路線やハワイ線も好調だという。
全日本空輸(ANA)の国際線予約数も4.5%増。「北米」「欧州」「中国」など、全ての方面で前年を上回る予約数となっている。特にリゾート線(ハワイ・ホノルル)の予約率は96.2%と高い水準。また、アジア方面からの訪日需要の増加も追い風になっている。
消費者の実感は乏しいものの、緩やかな景気回復は続いている。一方、働き方改革の掛け声によって、休暇取得を促進したり、小売店や飲食店が休業日を設けたりする動きがみられるようになり、休みを取りやすくする風潮も強まった。海外旅行に関する情報量も増え、休みの過ごし方の選択肢はさらに広がっていきそうだ。
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