「あと3カ月で資金が尽きます」 “ステーキ王”を生んだ苦難と覚悟:夏目の「経営者伝」(4/4 ページ)
2017年8月15日、ペッパーフードサービスは東証一部上場を果たした。1970年に誕生したたった12坪の店は大企業へと成長。だが、同社社長の一瀬邦夫氏は新たな目標を掲げている。「アメリカでチェーン展開し、全米制覇を目指す!」と言うのだ。一瀬氏の人物伝、第2回はズバリ「夢のかなえ方」だ。
一瀬邦夫流、夢のかなえ方
「よく“大変な思いをしないと成長しない”って言うじゃないですか。それって分かりやすく言えば、難しいことをやって、失敗してもいいけど、最後は成功で終わりなさいよ、ということだと思うんです。大変なことをやろうと思えば、失敗して当たり前。でも、失敗すると必死で働くし、アイデアも出てくるでしょ? フーフー言いながらも、うまいくと自信がつくんです」
だから、へこたれず、いつも笑顔でいることが必要だ。
「自信がつくと、夢を持つことができるようになるんです。そして、夢があるとますます頑張るから、自信もついていく」
このサイクルに自分をのせること、それが「一瀬邦夫流、夢の叶え方」だったのだ。こうして彼の人生はインフレーションを始めた。ペッパーランチの業績が軌道に乗ると、常識外れな「いきなり!ステーキ」を発案。そして、2017年には東証一部上場、米国進出。振り返って、一瀬氏はこんな話をする。
「上場を目指す、と宣言したとき、もうみんな『本当かなぁ』とは疑わなかったですよ」
前述したサイクルに乗ると、人も着いてくるのだ。個人経営のレストランに勤めていたはずが、東証一部上場企業の社員になっていたのだから、社員はどんな気持ちだったろう。しかし一瀬氏の夢はまだインフレーションを続ける。
「米国でチェーン展開し、全米制覇を目指しますよ!」
彼は本気で、ペッパーフードサービスを日本発の世界的企業にへと成長させようとしているのだ。
「できるかって? もちろん! できないわけがないじゃないですか!」
過剰に夢を実現し続ける人物、一瀬邦夫氏。その素顔はカンカンに焼けた鉄板よりアツい人間だった。
著者プロフィール
夏目人生法則
1972年、愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店入社。退職後、経済ジャーナリストに。現在は業務提携コンサルタントとして異業種の企業を結びつけ、新商品/新サービスの開発も行う。著書は『掟破りの成功法則』(PHP研究所)、『ニッポン「もの物語」』(講談社)など多数。
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