お正月の風物詩といえば、箱根駅伝。毎年1月2日と3日に繰り広げられるドラマに注目している人も多いだろう。記者もその1人だ。
正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」(関東学生陸上競技連盟主催)。2018年で第94回となる、歴史ある大会だ。関東学連に加盟する大学のうち、前年の大会で10位以内に入った10校と、予選会を勝ち抜いた10校、出場しない大学から選ばれる関東学生連合チームの計21チームが出場する。
東京・大手町と箱根・芦ノ湖の間を10人でつなぐ往復217.1キロ、10時間にも及ぶレースを毎年じっくり見ていると、勝負の行方以外にも気になることがある。
「たすき」をかけたクルマ
その1つがクルマだ。選手が走る路上には、チームメイトやボランティアスタッフ、先導する白バイ、観戦に駆け付けた人々、市街地から海、山へと変わる景色……など、さまざまな人や物が見られる。その中でもひと際目立つのが、選手と一緒に走るカラフルな車両だ。
箱根駅伝で使用される車両は、11年の第87回大会から、全てトヨタ自動車が提供している。それ以前の数年間はホンダが提供していたが、そのころも一部はトヨタだった。車両だけでなく、運行ドライバーも派遣しているという(一部車両を除く)。
選手にぴったりとくっついて走るのは、各大学の監督や関係者が乗る「運営管理車」。なぜこの車両に目が行くかというと、クルマも「たすき」をかけて走っているからだ。各校のたすきをイメージしたラッピング車両となっている。車体カラーも、たすきが映えるような色を使っているようだ。選手とおそろいのたすきで走る姿は、なんだかかわいい。
使われる車は、前年の新型車や話題性のあるクルマ、人気車種が多い。17年は、16年末に発売した新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「C-HR」が運営車両の1つとして提供された。他にも、燃料電池車(FCV)「MIRAI」やプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」が走った。たすきをかける運営管理車には近年、人気のミニバン「エスクァイア」「ノア」「ヴォクシー」といった、使い勝手がいいクルマが使われている。
18年はどんなクルマが走るのか。運営管理車は前年までと同じミニバンだという。他の運営車両には、17年にトヨタが発表した新スポーツカーブランド「GR」もお目見えするようだ。「プリウスPHV」「ヴィッツ」のスポーツモデルが大会運営を支える。
ちなみに、トヨタ車を展示するテーマパーク施設「MEGA WEB(メガウェブ)」(東京・お台場)では、特別展示「箱根駅伝 感動をつなぐチームとクルマ STORY & HISTORY」を開催中だ(18年1月14日まで)。過去の大会運営に貢献した車両などを展示している。
たすきの色の名前は……
運営車両にデザインされるほど、箱根駅伝の象徴といえるたすき。テレビやラジオの中継では、このたすきを巡る実況には特に熱が入る。終盤は、先頭から離された後方のチームに、繰り上げスタートの危機が迫る。チームのたすきがつながるかどうか……といった場面でその熱は最高潮になる。
そんな場面で、聞きなれない言葉も聞こえてくる。たすきの色、チームカラーだ。青山学院大学「フレッシュグリーン」、東洋大学「鉄紺」、早稲田大学「えんじ」あたりはすぐにイメージできるが、山梨学院大学「プルシアンブルー」、神奈川大学「プラウドブルー」など、駅伝でしか聞かないような色もある。
現在、JR山手線で箱根駅伝をPRする車両が走っており、出場21チームのたすきをイメージした中づり広告もある。電車でたすきを観察しながら、気分を盛り上げてもいいかもしれない。
4連覇がかかる青山学院大学と、大学3大駅伝の出雲駅伝、全日本駅伝をそれぞれ制した東海大学、神奈川大学、4年ぶりの総合優勝を目指す東洋大学など、混戦が予想されている18年の箱根駅伝。ドラマを支えるモノにも注目してみてはいかがだろうか。
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