ファンの愛で誕生 「阪神タイガース」仕様の国語辞典:帯には「六甲おろし」
三省堂が「阪神タイガース」仕様の国語辞典を発表。インパクトの強い装丁に仕上げた。作った狙いは?
辞書や教科書で知られる三省堂が、アッと驚くような見た目の辞書を発表した。装丁をプロ野球の「阪神タイガース」仕様に施した国語辞典を2月下旬に発売する。価格は3000円(税別)。
同社の国語辞典といえば、「三国(サンコク)」の愛称で親しまれる定番品。学生のころに使っていた人も多いだろう。イメージを変えてしまいそうな装丁の商品を出すことになった理由は何だろうか。担当者に聞いた。
「縦縞」「六甲おろし」タイガース一色の辞書
『三省堂国語辞典 第七版 阪神タイガース仕様』の見た目は、タイガース一色だ。ケースには大きなロゴマークと縦縞(じま)のデザインをあしらい、ビニール表紙はチームカラーの黄色。帯には「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」の歌詞を掲載。表紙をめくったところにある見返しには、阪神甲子園球場の写真を全面掲載している。
こんなインパクトの強い辞書を作った理由について、販売宣伝課の担当者は「幅広い層の人に手に取ってもらいたいから」と説明する。スマートフォンで手軽に言葉の意味を調べられるようになり、紙の辞書にも出版不況の波が押し寄せている。少しでも多くの人に親しんでもらいたい、という思いがあるという。
それにしても、なぜ阪神タイガースなのか。「実は、出版局長が大の阪神ファンでして……」と担当者は明かす。局長自ら編集担当に名乗りを上げて、「タイガース愛」にあふれた1冊を完成させた。
「阪神タイガースのデザインには力強さがある。大型の商品である国語辞典の魅力を高め、力強く仕上がった」と担当者は話す。全国に1000万人いるといわれる、層の厚いファンに届く辞書を目指した。
装丁だけでなく、内容にもタイガースが取り入れられる。あくまでも辞書であり、学習で使うための内容になっている点は他の辞書と変わらない。その中で、用語の使用例を紹介する例文の一部に、タイガースに関連する内容が盛り込まれるという。詳しくは発売時に公表するそうだが、ファンが思わず「ニヤリ」と笑顔になるような例文が期待できそうだ。
著名なデザインを使用するライセンス商品は、同社の国語辞典としては初めての取り組み。その反響は大きく、「一般のお客さまや書店の方からお問い合わせをいただいている」(担当者)という。タイガースファンの学びのお供として手元に置けば、勉強も楽しくなるかもしれない。
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