調査リポート
公営住宅の家賃滞納額、計504億円 10年間放置した自治体も:約20万世帯が滞納
地方自治体が低所得者向けに貸し出している公営住宅だが、家賃の滞納状況はどうなっているのか――総務省調べ。
2015年度末の時点で、公営住宅の家賃を1カ月以上滞納しているのは20万7232世帯で、滞納額は計504億2218万円――総務省の調査でこんな事実が明らかになった。滞納期間は1カ月以上3カ月未満が42.0%、12カ月以上が28.4%を占めていた。
公営住宅は、地方自治体が低所得者向けに貸し出しており、全国で187万9374世帯が入居している。地方自治体は家賃を滞納している家庭に対し、電話による納付指導、督促状の送付、訪問しての指導、保証人への通知などを行っている。
しかし調査では、一部の地方自治体では「家賃が納付されていると考え、滞納理由を把握しなかった」「長期間の滞納があるのに、その理由を記録しなかった」といった状態がまん延していたことも判明。中には、約10年間気付かずに滞納を放置していた例もあったという。
こうした状況を踏まえ、総務省は国土交通省と厚生労働省に対して(1)地方自治体に家賃滞納者の状況を把握させ、適切な対応を促す、(2)入居者の状況によっては、生活保護担当部局に代理納付させる――などを行うよう勧告した。
一方、政令で定められた水準を超える収入があるのに、公営住宅に住み続けている層が16万491世帯存在することも分かった。
総務省は国交省に対し、入居者の収入状況を調査し、必要に応じて明け渡し請求を行うよう改善を求めた。
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