苦戦が予想される「ダイエットコーク」に、立ちはだかる過去の壁:来週話題になるハナシ(5/5 ページ)
1982年に発売されたダイエットコークが岐路に立たされている。米国での炭酸飲料全体の売り上げが落ち込んでいることから大幅なリニューアルを行う予定だが、効果はどのくらいあるのだろうか。最大の壁は……。
リニューアルはインパクトが薄い
運動で喉が渇いたら、水やスポーツドリンクがある。眠気覚しとして飲むなら、エナジードリンクやコーヒーもある。さらに、爽快感を求めるなら、炭酸水だってバリエーションが豊富だ。
その点、ダイエット商品としても「ジュース」としても中途半端な位置付けとなっているダイエットコークが、いまの若い世代を魅了するのは容易なことではない。大幅なイメージ改革が、必要になっているのである。
日本では17年3月、脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇をおだやかにする成分を配合した「コカ・コーラ プラス」という、トクホ飲料が発売されている。
体に悪いと言われがちな炭酸飲料に、健康を意識したトクホという機能性を持たせた組み合わせが、ミスマッチで興味をそそられる商品になっている。そんなインパクトがあったためか、発売した当初はメディアでもよく報じられていた。
一方、米国でのダイエットコークのリニューアルは、単に新パッケージとフレーバーのバリエーションが増えたことを強調しただけで、正直言ってインパクトが薄い。
今回のリニューアルくらいでは、低迷している現在の炭酸飲料市場で存在感を打ち出すのはそう簡単ではないかもしれない。日本のトクホ飲料ぐらいのインパクトがほしいものである。
来週話題になるハナシ:
24時間365日、いまも世界のどこかでユニークで刺激的な話題や新しいトレンドが次々と生まれている。だが、大半は情報としてこぼれてしまっている。そんなメインストリームでない情報こそ、ビジネスで使えるネタが詰まっているのではないだろうか。
そこで、情報感度の高いビジネスパーソンならば、ぜひとも押さえておきたいトレンドや話題をちょっと先取りして紹介したい。プライベートにビジネスに、ちょっとしたインスピレーションのネタとして、役立つハナシを探るコラム。
著者プロフィール:
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
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