苦戦が予想される「ダイエットコーク」に、立ちはだかる過去の壁:来週話題になるハナシ(4/5 ページ)
1982年に発売されたダイエットコークが岐路に立たされている。米国での炭酸飲料全体の売り上げが落ち込んでいることから大幅なリニューアルを行う予定だが、効果はどのくらいあるのだろうか。最大の壁は……。
「ダイエット」という表現は流行遅れ
もうひとつ気になるのが、ダイエットコークの商品名にも使われている、「ダイエット」という言葉だ。この「ダイエット」という表現は、もはや流行遅れになっている。なぜなら、ちまたではダイエット商品とわざわざ説明しなくても、低カロリーなドリンクの選択肢が広がっているからだ。
ダイエットコークがリニューアルする理由は、そうした低カロリードリンクの存在もあるようだ。
低カロリーなドリンクといえば、まずウオーターが挙げられる。00年以降、ボトルウオーターの人気は急上昇しており、16年には米国で初めてボトルウオーターの摂取量が炭酸飲料を抜いたと話題になった。
水といっても、バリエーションは豊富だ。ミネラルウオーターや水道水をろ過したピュアウオーター、フルーツなどの香料を加えたフレーバーウオーターや炭酸水、さらに栄養素を加えたビタミンウオーターなどもある。
中でも最も旬なのは、フレーバー入り炭酸水だ。フレーバー入り炭酸水の市場は、年率10%以上で成長していて活気にあふれている。例えばこのカテゴリーで、米国トップシェアを誇るブランドの「Sparkling Ice」は、10年に1000万ドルだった売り上げが、わずか6年で6億6700万ドルになるほどの勢いだ。
こうした背景を反映してなのか、ダイエットコークの新しいパッケージもどことなく近年人気急上昇中の炭酸水のパッケージに趣が似ている。
新しいパッケージを手がけたのは、コカ・コーラ社が起用した26歳の若手デザイナー。トレンドのツボを押さえたデザインは、フレーバー炭酸水を意識したものだろうと考えていい。
砂糖を多く使用している炭酸飲料に代わるドリンクとして、低カロリーのダイエットコークは、健康に気をつかう女性を中心に支持されてきた。時代は流れ、現代ではダイエットコークの立ち位置が分かりにくくなっている。
酷な言い方をすると、健康志向の高い若い世代は、そもそもダイエットコークを必要としていない。また、人工甘味料を使用しているダイエットコークよりも、砂糖を使用したレギュラーコーラのほうが味を楽しめる。しかもカロリーを気にするなら、炭酸水をはじめ他の選択肢が山ほどある。
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