苦戦が予想される「ダイエットコーク」に、立ちはだかる過去の壁:来週話題になるハナシ(3/5 ページ)
1982年に発売されたダイエットコークが岐路に立たされている。米国での炭酸飲料全体の売り上げが落ち込んでいることから大幅なリニューアルを行う予定だが、効果はどのくらいあるのだろうか。最大の壁は……。
ブランド最大の壁は「継続」
新商品は、既存のフレーバー入りダイエットコークと比べて、より香料が際立った力強い味わいになっている。しかし、肝心のダイエットコークの味そのものは、レシピを変更していないという。つまり、これまでと同じように、砂糖ではなく人工甘味料の使用を継続するということだ。
ただその「継続」がまさにブランド最大の壁になっている。人工甘味料を変えて、レシピを変更したくても、根強いファンを失望させるリスクがあるから踏み出せない。
過去には、米PepsiCoの「ダイエットペプシ」が同じような壁に立ち向かったことがある。ダイエットペプシは、15年に健康志向の高まりから、人工甘味料の種類を別のものに変更した。そうしたところ、消費者からクレームが殺到し、売り上げが急激に落ち込んだことがあった。そして、翌年にダイエットペプシは元のレシピに戻された。
既存の顧客を失わないための決定打とはいえ、新しい顧客を引きつけるには、体に良くないイメージのある人工甘味料を使用し続けることはネックになる。特に、食の安全性をことさら気にする米国の若い世代にとっては、非常にマイナスな要素となる。加えて、時代はいま「ナチュラル」志向になっているため、世の中的に人工甘味料がそもそも「論外」になっているのだ。
そこで、苦肉の策として、4つの新しいフレーバーを投入することにし、なんとか若い世代の興味を引こうとしている。ダイエットコークのレシピを変えずに、新しさを出すにはフレーバーで冒険してアピールするしかないのだろうが、うまく人々の味覚に刺さるかは微妙だ。
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