沖縄の渋滞緩和に一役、自動走行バスにみる地方活性化の可能性:クルマ社会に朗報?(2/6 ページ)
沖縄本島を訪れた人ならご存じだろうが、都市部を中心に交通渋滞が深刻な問題となっている。まさにクルマ社会の弊害と言えるのだが、この問題を解決すべく内閣府などが今力を入れているのが自動運転バスの実証実験だ。
地元住民も知っている“超”渋滞エリア
今回の実験環境は、北中城村の「イオンモール沖縄ライカム」から宜野湾市の「宜野湾マリーナ」までの往復約20キロの区間。国道330号や県道81号、国道58号を通るコースで、都市部の交通量が多い幹線道路が選ばれた。
15年4月に開業したイオンモール沖縄ライカムは、沖縄本島で最大規模のショッピングセンターである。その来客数は年間1000万人以上とも言われており、連日多くの利用客がクルマで訪れる。特に週末の渋滞はひどく、地元住民には“超”渋滞エリアとして知られている。
実証実験で使用する車両は、既存の小型バス(定員22人)に先進モビリティ社が開発した装置を取り付け、自動制御が可能な車両に改造。SBドライブ社が車両監視システムや乗客への情報提供などの車内表示装置を開発した。
実験車両では、あらかじめ取得した地図データの上にバスが走るべき走行ラインを定義し、そのラインに沿ってハンドル、アクセル、ブレーキを自動制御して走行する。一部手動運転が必要なケースもあるが、基本的には公道でも自動制御で走行していた。
車線の維持制御には、目標軌跡座標テーブルと日本版GPSと呼ばれる準天衛星(CLAS方式)「みちびき」の測位情報を利用する。みちびきは内閣府が主導で稼働させている衛星で、現在4機が打ち上げられ、そのうちの2機がサービスを開始している。歩行者や横断歩道の位置、交差点の形状などを詳細に記述されている。これらを使うことで、障害物の回避も自動で行えるようにしている。
車両には単眼カメラとレーザーレーダ(LiDAR)などのセンサーが前方と右・左側方、後方に取り付けられている。また、人工知能(AI)のディープラーニングによる物体認識を行い、歩行者や自動車、バイク、信号や交通標識など車両に対して影響をもたらすものを検知している。今回、ディープラーニング技術を導入したことでより誤検知を減らすことができたという。
例えば、南城市の実験では路肩にある樹木の葉が道路にはみ出した際には、障害物と誤検知していた。今回は、ディープラーニング技術によって樹木の葉は障害物ではないと認識できたという。
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