1本1万5000円。金箔のりに巻かれるのは本マグロの中トロやズワイガニなどの高級食材18種。そして上に置かれたキャビア……。
これは、大丸東京店で販売される豪華食材恵方巻「〈中島水産〉2018年18種の十八番(おはこ)巻」だ。限定10本で2月3日のみ販売する。2017年に同店で販売した最高額の商品が1万800円(税込、以下同)だったので、約4000円も更新したことになる。そのほかにも、1本5000円のアワビふかひれ恵方巻(限定10本)、1本5616円の米沢牛恵方巻(限定10本)といった高額商品がずらりと並ぶ。
同店の担当者によると、こういった豪華・高級志向の恵方巻を販売し始めたのは14年頃。最も高額なものは1本8400円、そのほか約100種類を販売していた。14年から17年にかけて恵方巻の売り上げは2.5倍に増加。今年は150種類まで増えたという。高額品だけでなく、1000〜2000円台の中価格帯も幅広く販売している。「2017年に販売したものはほとんど売り切れた。今年は品ぞろえと高額商品を増やしている」(同担当者)という。
購入しているのは富裕層に限らない。「幅広い層に買われている。奮発して買おうというメリハリ消費」(同担当者)が特徴のようだ。
伊勢丹新宿店でも金箔のりを使い、本マグロや蒸アワビなどの食材を使った1万800円の恵方巻きを限定10本で販売する。数年前から5000円から1万円の高額商品を扱うようになったという。
このように、百貨店では恵方巻の高額化が進んでいる。
スーパーでも高額商品が売れる
「高額化」のキーワードが当てはまるのはスーパーでも同様だ。
「イオン」「イオンスタイル」を運営するイオンリテールによると、恵方巻の売り上げは「右肩上がりで増えている。中心価格帯も上がっている」(広報担当者)。1000円台のお手頃価格のものから、有名鮨店が監修する3000円台の高価格帯まで、老若男女に幅広く売れている。ハレの日にちょっとぜいたくしたいというニーズがすっかり定着しているそうだ。
同社によると、ここ数年で恵方巻の品目数を増やしているわけではないが、「1本丸ごと食べるには量が多い」という女性・高齢者や、「家族で少しずつ食べ比べたい」というファミリー層のニーズにこたえるため、ハーフサイズのラインアップを拡充している。
セブン‐イレブンも、“少量タイプの商品をいろいろな商品と組み合わせて買いたい”という「ビュッフェスタイル」のニーズが高まっているとして、ミニサイズのお手軽な商品から、いくらなどをつかった1480円の高価格帯をそろえる。
節分に恵方巻を食べる風習はもともと関西発祥といわれているが、1990年代からスーパーやコンビニで扱われたのをきっかけに、全国的に普及した。季節商品としてすっかり定着した現在では、「具は7種類」「鬼の金棒に見立てる」といったしきたりにとらわれず、特別な日を楽しむための食品という位置付けになってきている。消費者の多様な好みを反映した結果、高価格帯のものが支持されるようになってきたのだろう。
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