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プリンターがあるのに、なぜ「活版印刷機」が人気なのか水曜インタビュー劇場(開発公演)(2/6 ページ)

学研プラスの科学系ムック『大人の科学マガジン』が売れている。最新刊の付録は「小さな活版印刷機」。活版印刷の技術は15世紀に発明されたと言われているのに、なぜいま人気を集めているのか。その背景に迫ってみると……。

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試作品をつくってみた


発売前からSNS上などで話題になっていた『大人の科学マガジン 小さな活版印刷機』(学研プラス)

土肥: 小さな活版印刷機が売れていますよね。発売前から話題になったので、すぐに品薄状態に。組み立てることができる活版印刷機は、どういったきっかけで開発することになったのでしょうか?

吉野: 『活版印刷三日月堂 』(ポプラ社)という書籍がありまして。文字や活版にまつわるストーリーが紹介されていて、読んでいて「自分もやりたい! 活版してえ!」となったんです。出版社で働いているので、文字を人に届けるストーリーは、心の琴線に触れたのかもしれません。

 実際にやってみようと思って、印刷所に連絡をしてみたのですが、古い技術なので機械を置いているところを見つけることができませんでした。「活版印刷を試したい! この気持ちをどこにぶつければいいのか」と悶々としていたところ、廃業した印刷所から機械を買い取って、ワークショップを開いたり、作品をつくったりしているところがたくさんあることが分かってきました。

 現場に足を運んだところ、活字を拾っていたり、電気を使っていなかったり、インキのにおいが漂ってきたり、ものすごく感動したんですよね。また高価な部品を使っていなかったので、雑誌の付録に使えるのではないかと考えました。

土肥: 「付録は『活版印刷機』でいこう!」となれば、次に試作品をつくるのですか?

吉野: はい。試作品って、とにかく動けばいいんだ、とにかく機能すればいいんだ、といった考えでもつくれますが、それではダメ。実際に量産化したときに性能がかなり違ってくるので、どの部分にどういった材質を使うのか、強度はどのくらいにするのか、コストはどうするのか、といったことを見込んでつくらなければいけません。

 小さな活版印刷機の場合も、どういった材質を使うのか、強度はどのくらいにするのか、コストはどうするのかといったことを決めました。そして、試作品づくりを担当している外部の人と一緒に進めました。それがこれ。


小さな活版印刷機の試作品

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