明治、マーガリンの成分見直し 市場回復へトランス脂肪酸削減:消費者の不安解消へ(1/2 ページ)
明治が3月から、家庭用マーガリンを大幅リニューアル。「トランス脂肪酸」を多く含む原材料を全商品で不使用とする。消費者の不安感を解消し、市場を活性化する狙い。
マーガリンなどに含まれる物質「トランス脂肪酸」。これについて、ネット上などで「危険な化学物質だ」「心身に悪影響をもたらす」――といった悪評を見聞きしたことのある人は多いだろう。
トランス脂肪酸は、過剰に摂取した場合は心臓病のリスクを高める可能性が指摘されている。米食品医薬品局(FDA)は今年6月から、この物質を多く含む原材料「部分水素添加油脂」の使用を禁止する。
一方、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、米国の約8分の1に相当する0.7グラム/日。健康に影響を及ぼすラインを大幅に下回っているため、日本政府は特段の規制を設けていない。
しかし一連の悪評は、2000年代前半に欧米から日本に伝わり、拡散を続けている。消費者のマーガリンに対するマイナスイメージも定着し、国内市場は縮小の一途をたどっている。17年度のマーガリン市場規模は、前年度から約10%減の280億円前後を見込む。
明治が家庭用マーガリンをリニューアル
こうした状況を変えるため、食品大手の明治は3月から家庭用マーガリンを大幅にリニューアルする。全商品で「部分水素添加油脂」を不使用とし、トランス脂肪酸の含有率を10グラム当たり0.1グラムに抑える。
この数値は、トランス脂肪酸の影響が指摘され始めた05年の9分の1程度という。
明治 加工食品営業本部の高橋寛行氏は「当社ではさまざまな研究を行っているが、日本人の平均摂取量では、トランス脂肪酸の健康への影響は小さいと考えられる。通常の食生活を送り、色々な食品をバランス良く食べることで、心臓病のリスクが高まる可能性は低い」とする。
「ただ、消費者の間で悪評が広がっているのも事実。リニューアルで消費者の家庭用マーガリンに対する不安感・疑念を解消し、市場全体を元気にしたい」という。
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