和歌山発のバイクが1億円の“共感”を集めた理由:キーワードは「地元」(2/3 ページ)
クラウドファンディングを成功させるためには何が必要だろうか。和歌山県のベンチャー企業が実施した「glafitバイク」プロジェクトは国内最高額となる約1億2800万円を集め、注目を浴びた。なぜ多くの人が支持したのか。glafitの鳴海禎造社長に聞いた。
「地元からの応援」で勢いに乗る
glafitバイクのプロジェクト支援者は全部で1284人だが、そのうち約100人を占めたのが、地元・和歌山県の人たちだ。「都道府県別の支援者を多い順に並べると、和歌山以外は人口が多い順番になりました。人口が少ない和歌山が8%ほどを占めた。それほど地元で反響が大きかったということです」
クラウドファンディングの成否を分けるポイントの1つが、「プロジェクト開始当初にどれだけ支援を集められるか」だといわれている。glafitバイクの場合、その“初速”を勢いづけたのが地元の人たちだった。
「地元の人が盛り上がり、プロジェクトを紹介してくれたことで、その盛り上がりが波及していったように感じます。応援すると決めたら、プロジェクトメンバーと同じ目線になってSNSなどで薦めてくれて、それが話題になっていきました。『実際にお金を出した』ということが説得力となり、その人たちの発信力が高まっていたと思います」
「和歌山発」に反応して最初に支援した人たちが“コア集団”となり、同じ地域という共通点でつながりながら、製品の良さを発信していく。短い期間で良い循環ができた。
その循環に巻き込めたのは、一般ユーザーだけではない。自治体も“応援団”に加わった。和歌山県の「クラウドファンディング活用支援プロジェクト」、和歌山市の「チャレンジ新商品」にそれぞれ認定。県と市で、職員が使う公用車にもなった。鳴海社長は「和歌山は起業が少ない県。新しいことをやれば注目してもらえる」と話す。まさに「地域ぐるみ」の後押しを受けることができた。
地元の応援の効果もあり、クラウドファンディング終了後の17年10月に開始した一般予約販売も好調だ。価格は1台15万円(税込)。すでに累計2500台以上を販売している。
新しいチャレンジや、その結果として生まれた商品の力も重要な要素だが、glafitの場合は「地方企業が頑張っている」という姿勢に対する“共感”が生まれたことが大きなポイントだったようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
資金調達の「常識」が変わろうとしている
資金調達を巡るパラダイムシフトが起きている。背景にあるのは、金融とITを結び付ける新しいテクノロジーの台頭である。資本は経済の原動力であり、その流れが変わるということは、ビジネスの仕組みそのもにも影響が及ぶ。新しい資金調達の手法やその可能性、そしてリスクについてまとめた。
企業は「クラウドファンディング」をどう活用するべきか
急激に市場規模が拡大しているクラウドファンディング――。新しい資金調達の手段として注目されているが、企業はこの新しいツールとどのように向き合っていけば良いのだろうか。
仮想通貨の父「サトシ・ナカモト」の正体がバレているのは本当か
仮想通貨の代表格であるビットコインを発明したサトシ・ナカモトとは、何者なのか。数々のメディアが「この人物がナカモトだ」と報じたが、いずれも誤報。真相は闇に……と思われたが、ナカモトの正体を知っている人がいるとの話が出てきた。それは……。
除草剤で「メロン全滅」の農家、1週間弱で支援金1700万円集まる
昨夏にメロン畑に何者かが侵入して除草剤を散布し、大打撃を受けた「寺坂農園」。「Makuake」で復活資金を募ってから1週間弱で約1700万円を獲得した。代表の寺坂氏は「甘くておいしいメロンを育てていく」とコメントしている。
「パインアメとコラボ」のリップクリーム登場 香りを再現
ヘソプロダクションが、「パインアメ」とコラボしたリップクリームの先行販売を開始。パインアメの香りを再現したという。クラウドファンディング開始3時間で、目標金額を上回る10万円超を獲得した。
