“若手発信”のプロジェクトが職場を変えた 新卒社員の奮闘:理解得ることから(2/4 ページ)
社内コミュニケーションの活性化が課題となっている企業は多いだろう。オフィス家具メーカー、プラスの渡辺さんと村山さんは、新卒入社してすぐに社内活性化プロジェクトを担当し、社内の雰囲気を少しずつ変えている。どのように他の社員を巻き込んだのか。
全員参加を達成した「あいさつ運動」
新しい取り組みの意義を伝え、社内に協力を呼び掛ける。それは新入社員にとって、とてつもなく高い壁だ。最初に取り組んだ「あいさつ運動」から、「理解してもらう」というハードルを越えなければならなかった。
あいさつ運動は、毎朝社員1人がフロアを回り、全員にあいさつをする、という取り組み。担当した社員が次の人を指名する方法で、全員に回るまで続ける。同じオフィスで働く全員と言葉を交わしてもらうことが目的だ。
全員に回すためには、先輩社員や上司に「お願いします」と頼んで回らなければならない。「最初のころは、まず文句が返ってくることが多かったです」と渡辺さんは振り返る。面倒くさい、仕事とは関係ない。そんな気持ちが伝わってきた。それでも、懸命にお願いを続けた。
東京オフィスではなく、前橋工場に配属となった村山さんのハードルはさらに高かった。入社2〜4年目のプロジェクトメンバーがおらず、新入社員だけで協力を呼び掛ける。「当初は批判もありました」(村山さん)
そんな状況を突破するためにできることは、力を合わせること。若手社員で集まり、説得する方法を何度も話し合った。「説得が難しい人には、その人と仲が良い人から話してもらうようにお願いしたり、上司からも説得してもらったりしました」(村山さん)。「必ず全員回る」という強制的な取り組みであることも説得材料に使った。
さらに、雰囲気を変えるきっかけになったのが、あいさつ運動を呼び掛けるポスターやポップだ。オフィスのショールーム機能も備えた東京オフィスには来客が多い。「これは何ですか」と尋ねられ、営業担当者があいさつ運動について説明すると、「すごく興味を持ってくれることが多かった」(渡辺さん)。何度もそれを繰り返すうちに、あいさつ運動が外部へのPRポイントの1つにまでなっていた。
「活動を続けることで、朝の風景として定着していきました」(渡辺さん)。東京オフィスでは、半年以上をかけて111人全員のあいさつ運動を達成。その足跡を紹介していったWebサイトも好評だった。
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