KDDIが自動運転ベンチャー「ティアフォー」に出資する理由:ソニーなども出資か
KDDIが、自動運転ベンチャーのティアフォーと資本・業務提携を結んだ。ティアフォーはオープンソースの自動運転用OSなどを開発している。KDDIに提携の理由を聞いた。
KDDIは3月5日、自動運転ベンチャーのティアフォー(名古屋市)と資本・業務提携を結んだと発表した。出資金額は非公開。ティアフォーは、周辺環境の認識や経路判断を担う自動運転車用のOS「Autoware」を開発したほか、無人運転の実証実験に成功している。KDDIはティアフォーの技術力を生かし、第5世代移動通信システム(5G)を活用した自動運転車の走行試験などを行っていく。
ティアフォーは名古屋大学出身の研究者らが中心となり、2015年に創業。現在は自動運転用のシステム、ソフトウェア、3次元地図、センサー類の開発・提供を行っている。「Autoware」などのソフトウェアはオープンソースとして外部に公開し、業界全体の発展を目指している。
業界の発展を考えている点が魅力
KDDIは提携について、「本格的に自動運転事業に取り組みたいと考えたため。自動運転関連の企業は、OSを他社に公開していないケースがほとんどだが、業界のためにオープンソース化している点を魅力に感じて手を組むことを決めた」(広報部、以下同)と説明する。
「トヨタ自動車と16年から協業し、コネクテッドカー(つながる車)用の通信プラットフォーム構築を進めているが、この取り組みにティアフォーを迎え入れることも検討している」という。
5G・4Gの有用性確かめる
KDDIは共同で行う走行試験で5Gの有用性を検討するほか、自動運転における最適なネットワークの組み合わせを模索していく。ティアフォー側は、KDDIの出資で得た資金をソフトウェアの開発などに生かす。
走行試験の内容については「期間や詳細は未定だが、5Gに対応した自動運転車で公道を走行する案などを検討中。5Gはまだ発展途上の技術のため、現状で何ができて、何ができないのかを確かめたい」という。
「ただ、他の自動車との連携、歩行者や信号の動きの認識、最適な車線の判断などの通信は、4Gでまかなえるという説も出ている。走行試験では4Gがどこまで自動運転に使えるかも確かめ、4Gと5Gの最適な組み合わせを考案したい。4Gが通用すれば、設備投資額を抑えながら自動運転の実用化を目指せる」
走行試験以外では、自動運転車の配車や運行管理ができるスマホアプリの開発も視野に入れているという。
ソニーなどもティアフォーに出資か
3月5日付の日本経済新聞によると、ソニーも傘下のファンドを通じてティアフォーに出資したという。半導体事業や損害保険事業と自動運転の連携を検討中としている。
ITmedia ビジネスオンラインはソニー広報部に事実関係を聞いたが、同日正午時点でコメントは得られなかった。
半導体メーカーのアクセルも同日、ティアフォーへの出資を発表。「アクセルのハードウェア開発力とティアフォーのソフトウェア開発力を組み合わせ、お互いの持続的発展を目指す」としている。
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