後発の「ゆで太郎」がそば業界首位になった理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」のそばを提供して急激に店舗数を増やしているのがゆで太郎だ。今回は、後発ながら富士そばや小諸そばを追い抜く原動力となった同社のこだわりと戦略を紹介する。
本格的なそばの提供にこだわる
ゆで太郎の多くの店舗は明るく見通しの良い設計になっている。店内で粉からそばを手打ちしている様子が見えるようになっており、自家製麺の安全・安心感を醸し出している。
そばは1日3〜5回打つので、いつでも新鮮な打ちたてが食べられる。町のそば専門店では1日1回製麺することが多い。ゆで太郎は町のそば専門店に比べて4〜5倍の量を売るので、多く製麺しないと需要に追いつかないという理由もある。
麺には風味のバランスが良い中層粉のそば粉を55%配合(信越食品系の店は50%)。町のそば専門店は「二八」などと表示している場合を除くと、そば粉の配合率が50%程度というのが標準的である。
立ち食いそばチェーンがコストを下げるために、30%以下しかそば粉が入っていない実質「うどん化」した麺を使用するケースも見受けられる。そばの風味がするゆで太郎の麺とは対照的だ。
ゆで太郎では1.4ミリ幅の細切りで製麺し、喉越し良く仕立てている。また、オーダーを受けてから麺を茹でるので、立ち食いそばにありがちなふやけた麺を提供される心配はない。工場で茹でた麺をビニール袋から出して、水や湯を通して提供するやり方とは全く異なっている。
つゆも業務用既製品を水や湯で薄めるのではなく、店でかつお節から毎日ダシを取り、千葉県銚子産の醤油、千葉県流山産の本醸造みりんで調えた「かえし」と合わせてそばつゆを作る。毎日食べても飽きが来ない味に仕上げている。
素材にもこだわる。わかめは三陸産、わさびは静岡産の寿司店でよく使う練りわさびタイプを使用している。
このような品質向上に努めた結果、シンプルなかけそばともりそばが一番売れるようになったと言えよう。
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