すぐに成果を求めてガチガチに管理するような新規事業は失敗する:エンジェル投資家・山口豪志氏に聞く(3/3 ページ)
ビジネス成長のために新規事業を立ち上げようとする会社は少なくない。しかし、成功よりも失敗する会社が多いのではないだろうか。それはなぜだろう?
まずはやってみる
では、時間をかけてじっくりと取り組むことが肝心で、新規事業にスピードは不要なのか。当然そんなことはない。
プロジェクトそのものには時間をかけるが、その場その場の意思決定のスピードはとても重要だと山口氏は念を押す。判断の遅れによってビジネスの機運を逃してしまい、せっかくの優れたアイデアが無駄になるケースは多々ある。特に新規事業に乗り出すかどうかの最初の意思決定は経営トップが鍵を握るのは間違いない。
そこで山口氏が会社の経営層や新規事業の担当者に伝えたいのは、まずはやってみようという精神だ。やってみて、そこで分かったことを元に、次の改良、改善につなげる。そのトライアンドエラーの繰り返しが肝要である。
「そもそも新規事業は不確実なもの。それに対して短期的な視点でガミガミ言ったり、やるだけで目くじらを立てられたりすると、次の展開につながりません。やってみないと分からないことが多いのです」
だからこそ行動しなければならないし、その意思決定を即座にできる会社にこそ成功するチャンスが広がるのだろう。
山口氏によると、新規事業の本質は、目の前の課題解決ではなく、今までにはない価値を作り出すことである。「新しい価値を作るためには、枠をはみ出す考え方が必要です。そのためには時間も必要だし、意思決定も大切になります。多くの会社はそういうことをやるべきだと思っていますし、そうした視点で新規事業に取り組んでいる会社は意義があります」と力を込める。
今回、山口氏が挙げた新規事業の成功条件を整理するとこうなる。
(1)細かく管理せず、担当者にしっかり権限委譲する
(2)すぐに成果を求めないこと
(3)意思決定の速さ
これらの条件を踏まえ、次回以降では実際に新規事業で成果を出している会社の事例を紹介していく。
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